──────────────────────── 文庫増補版へのあとがき ──────────────────────── 【再び本書成立の経緯へ】 ■単行本へのあとがきで、本書が成立する1993年までの事情を紹介した。だが、今回、文庫増補版へのまえがきで記した通り、私が修士論文を提出した1982年から1993年までの11年間に比べると、1993年から今年(2007年)までの14年間の方が遥かに長い年月だ。 ■ここでは単行本版上梓後の社会的変化を踏まえて、改めて本書成立事情を再帰的に記そうと思う。再帰性(reflexivity)概念には、社会学に限定すれば、社会システムに準拠したルーマン的用法と、人格システムに準拠したギデンズ的用法とがある。説明しておこう。 ■ルーマンの用法は、ベイトソン(Gregory Bateson)経由で数学概念を転用したもので、学習についての学習に見られるような「