1998年、38歳のとき、留学先のカリフォルニア工科大学で、世界初の量子テレポーテーション実験に成功、世界の度肝を抜いた科学者、古澤明氏。当時、勤務していた光学機器メーカー・ニコンを離れ、現在は東京大学で新たな成果を生み出している。 1998年、世界初の実験の成功はアメリカの科学誌『サイエンス』のその年の10大ニュースに選ばれた。また、論文は「ジュラシックパーク」で知られる作家、マイケル・クライトンの目に留まり、タイムトラベルを題材にした歴史冒険小説『タイムライン』で、参考文献として彼の名前とともに紹介されている。 超高速演算を可能にする量子コンピュータは今、世界中の研究者が基礎研究にしのぎを削っているが、その最も重要な基礎技術のひとつである量子テレポーテーションの研究で、世界の先頭を走っているのが、その実験「スクイージング技術を用いた遠隔地間での量子状態の情報伝達の実証」を成功させた人物