浪人時代。 勉強場所と決めていた都立中央図書館を出て 家に帰ろうと通りにでたら おじいさんがタクシーに乗ろうとしていた。 杖をつき、腰の曲がったおじいさんは もう足腰がかなり弱っているらしく かがんで乗り込むことすら難儀な様子だった。 しかも かぶっていたオシャレな山高帽が タクシーのルーフに引っ掛かって 今にも落ちてしまいそうな状態。 ヤバイと思い、手をさしのべ、 乗り込むのを手伝ってあげた。 「すみません。。。(弱々しく)」 「いえいえ、大丈夫ですか?」 って会話を交わしたその人は、 麻布本村町に住んでる僕のじいさんだった。 「あれ、じいちゃん、何してんの?」 「お。トシヤか。」 「1人でどこ行くの?大丈夫なの?」 「うん。三越に行くぞ。一緒に来い。」 「いやいや、オレ、勉強あるから。」 「おお、そうか。」 「ほんと、だいじょうぶなの?」 「うん、じゃあな。」 っていうと、銀座三越にむ