不況だ、不況だと下を向くのはもうやめよう。まだ実感できないかもしれないが、日本経済は確実に飛躍の準備を整えている。証拠はある。誰もが将来に夢を抱き、「明日はもっと良くなる」と信じていたバブル元年の「1985年」に、「2012年」の経済状況は酷似しているのだ。 あの時も、国民が気づかないうちに始まっていた。 1985年――。高度成長期はすでに遠く、日本は構造不況、デフレという低成長の時代に入ったと思われていた。 さらに同年9月のプラザ合意(※)で、為替レートが1ドル=240円から翌年には150円台まで上昇する。現在とは比べものにならない急激な円高に振れ、政府は緊急経済対策を打ち出した。輸出企業は国外に脱出、東京・下町の町工場の倒産が相次ぎ、輸出用の金属洋食器や工具で知られる新潟・燕三条市は円高不況で街ごと産業空洞化するのではないかと心配された。 ところが、実はその時にこそ日本経済の奥底では、