五輪エンブレムと国立競技場。二つの白紙撤回には、共通点がある。 高まる反対の声にずっと耳を傾けず、7月になってようやく全面見直しに至ったのが、新国立競技場の建築計画だった。当初想定した総工費1300億円には収まらないと早い段階で関係者は把握しながら、誰も責任をとらずに暴走した。世界的な建築家ザハ・ハディド氏という権威を盾に、民意をないがしろにする文部科学省と日本スポーツ振興センターの体質があった。 自分たちに理念がないから権威に頼る構図は、今回のエンブレム問題も同じではなかったか。 東京が大会招致を目指した段階で使っていたエンブレムは、公募で採用された大学4年生の作品だ。5色の桜の花が輪になったリースのデザイン。リースには「再び戻る」という意味があることから、東日本大震災からの復興というメッセージが込められていた。 今回は、「公募」とはいえ、応… この記事は有料会員記事です。有料会員になる