なんて淋しく切ない本なんだろう。 この本はかつて存在した日本というものの遺書のようです。 そして、最初に書いておきますが、この本はこの国でものづくりに関わるすべての人びとが一度は読んでみるべき一冊だと思います。 私どもは西洋でなした過失を繰返したくはありません。日本の固有な美しさを守るために手仕事の歴史を更に育てるべきだと思います。その優れた点をよく省み、それを更に高めることこそ吾々の務めだと思います。 それにはまずどんな種類の優れた仕事が現にあるのか、またそういうものがどの地方に見出せるのか。あらかじめそれらのことを知っておかねばなりません。この本は皆さんにそれをお知らせしようとするのであります。 この本に関しては1つ前のエントリー「模様を生む力の衰え」でもすこし取り上げましたが、以前に『工藝の道』を紹介した日本民藝運動の創始者・柳宗悦さんが、大正の終わり頃から約20年をかけて日本全国を