スルガ銀行の個人金融事業の戦略は、顧客の「夢をかたちに」して、「夢に日付を」いれること、即ち、「対話を通してお客さまの思いを把握し、寄り添い、夢を叶えてさしあげたい」という理念に集約されていたようです。敢えて過去形にするのは、スマートデイズ社関連の問題を機に、見直しが不可避になるだろうからですが、さて、この理念のどこに事件を引き起こす要因があったのか。 夢に日付をいれる スルガ銀行が使ってきた顧客の夢に日付をいれるという表現は、時間を軸にした金融機能の本質を実に巧みにとらえていて、いたく感心せざるを得ません。 将来のどこかで住宅をもちたいという夢を具現化して、それに現在の日付をいれるものが住宅ローンです。住宅を購入することは長年かけて資金を貯めることでも実現できますが、それでは持家に住む期間が短くなって夢の実現として不十分です。夢を実現するためには先に買って長く住む必要がある、その必要を充