2006年07月09日07:30 カテゴリ書評/画評/品評 宋氏の三十六計 - 書評 - うまい逃げ方 三十六計といえば「逃げるが勝ち」だが、宋さん流にいうと、こういう本になる。 うまい逃げ方 宋 文洲 手料理を頂いた上に本まで頂いてしまったのだが、いやあ、これがうまいのなんのって。 宋さん自身は、端から見たら逃げるにはほど遠い人生を歩んできている。彼にとっての異国、それも合州国ではなく日本で会社を上場させた漢(おとこ)に向かって「逃げる輩」と言ったら侮辱もいいところだと思ってしまうが、しかしご本人は「退却」とか「戦略的撤退」などと言葉を飾らず「逃げる」と言ってのける。そんなことをするのはヤン・ウェンリーぐらいかと思ったが、実際にいるとは。 しかし、彼の「逃げ」は、「食わず嫌い」の正反対にある。食って、苦さを味わって、自分がどこまで耐えられるかを推し量ってから、前向きに逃げるのである。 p