「ふるさと納税」の概要が決まった。寄付税制を活用し、自治体に寄付すると寄付額が税額控除される。2008年度税制改正での実現が目的とされている。 「ふるさと納税」は、財政の基本原則を侵す重大な問題を含んでいる。まず、地方税における受益原則との関係がある。これについてはかつてこの欄で論じた。今回示されたように寄付税制で税額控除が認められると、寄付税制の観点からも重大な問題が発生する。以下では、これについて論じることとしよう。 まず、寄付税制における所得控除と税額控除の違いについて説明しよう。寄付税制は、これまで所得税と法人税において設けられていた。そこでは、寄付は所得控除(または損金算入)されることとなっていた。 ?たとえば、限界税率20%の人が1000万円の寄付をしたとしよう。この全額について所得控除が認められると、課税所得が1000万円減少し、納税額は限界的に200万円減少する。したがって