ゴータマ・ブッダの語った言葉を、ある程度正確に記録すると見做されているパーリ仏典(初期経典)には、こういう話が出てきます。 往来で強盗と殺人を繰り返していたアングリマーラという大犯罪人が、釈尊に出会って改心し、弟子になります。その後のある日、彼が托鉢に出ると、ひとりの女性が異常妊娠で苦しんでいました。 彼は急いで取って返し、ブッダに報告すると、ブッダはこういう意味のことを彼女に言えと指示します。 「自分は生まれて以来、生き物の命を奪ったことはない。その真実にかけて、あなたとお腹の子供に幸せがあるように」、と。 これを聞いてアングリマーラは言います。 「それじゃあ、嘘を吐くことになりませんか?」 すると、ブッダはこう答えます。 「じゃあ、『生まれて以来』のところを『聖なる生まれに生まれて以来』(つまり、出家してブッダに帰依して以来)と言い換えなさい」 ただちに、アングリマーラは妊婦のもとに戻