最近よく世間で聞く言葉に「共生」と「多様性」があります。この言葉にどのような意味を読み取るかは、人それぞれかもしれせんが、私はこれはそう簡単に扱える文句ではないと思います。 我々の社会の問題として「共生」と言うなら、その最も直接的な意味は、自己と自己ではない誰か、つまり他者との「共生」でしょう。だとすると、「多様性」とは、その他者が人種、民族、言語、文化的・宗教的背景などで様々に異なることを言うのだと思います。だとすれば、話の要点は、「多様な他者との共生」ということになり、これは簡単なことではなく、その実現には、すでに言われているように「寛容さ」、もっとはっきり言えば忍耐が必要だと思います。 なぜなら、そもそも、「他者」とは根源的に「わからない」存在だからです。このわからなさは、死のごとき「絶対的わからなさ」とは、すこし性格が違います。他者のわからなさは、原理的な理解不可能性ではなく、わか
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