この本は大沢在昌の小説講座である。 新人賞に応募経験のある、本気で作家になりたい人を集めて、一年間にわたって行った講座である。デビューだけでなく売れるにはどうしたらよいかについて、かなり具体的に語っている。 ところが、用語に関してちょっと誤用がある。 本文のなかで「一人称」と表現されているのは「視点の固定」の間違いだ。 「一人称」とは、主語を「私、僕」など語り手と一致させる書き方である。 だが、本文中で言われているのは、「主人公の視点に固定する」という書き方であり、一人称とは違う。そこを理解していないと、混乱することになる。 つまり、主人公に視点を固定すると、その他の心情に関しては、主人公による推測になるわけである。語り手、読み手は主人公につかず離れずいる存在になるわけだ。 この点で受講者は、「矛盾している」という指摘を大沢在昌から受けるわけであるが、誤用しているから理解できていないのでは
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