現在の日本の社会状況は、規律の乱れや道徳の荒廃が指摘されることが多いのではないだろうか。学校においても、学力の低下や、自由が放縦の様子を見せるなど、いわば勝手なふるまいをする子供たちを育てているように見える。かつての日本では、人々はもっとまじめな生活に価値観を抱いていたし、学校でも子供たちは秩序に従う生活をしていた。 これは、かつての日本人のほうが道徳的に優れていたことを意味するのだろうか。あるいは、かつての教員のほうが子供の指導力が高かったので、秩序を確立することができたのだろうか。これは、そう思いたい面もあると思うが、本質的には「近代過渡期」が「近代成熟期」になったということがこのような変化をもたらしたのではないだろうかと僕は感じている。 「近代過渡期」の学校教育は、宮台氏が指摘するように、監獄と軍隊を手本としていた権力的な押し付けを基本としていたと思う。戦後民主主義は民主的な教育を実