廃藩置県の本質は,民と税という国民国家の基礎となる二大要件の帰属を,藩から「国」に移すことにほかなりません。明治維新とは,世界史の荒波の中に引きずり込まれた新生日本の,マドルスルー(muddle through)を通した根こそぎの大革命だったのです。 衰退した幕府ではなく,薩長を軸とした新しきコマンド達が,徹底した上意下達の官僚システムで,一気に変革を成し遂げていったのです。アンシャンレジュームの江戸幕府が中央で実権を握ったままで,藩や辺境を抑えていたら,日本はどうなっていたでしょうか?私は99%植民地化されていたと考えます。我々は明治の先輩先達に感謝しなければなりません。偶然なのか必然なのか?歴史は摩訶不思議です。国家存亡の大危機の時,そんな役割の人間が表舞台に登壇してきました。“神風を信じた日本人と信じ込ませた軍部”もむべなるかな。 ロシアの不凍港奪取のための南下政策や朝鮮への進出が,