ここ数年、なかなか寝付けなかったのが、一瞬で眠れた。 もちろん、あれこれ試してきた。昼間は日光を浴びるとか、寝る前はブルーライト避けるとか。しかし、横になって目を閉じても、雑事や悩みが頭をめぐり、なかなか眠りに入れない。体が眠りたいのに、頭がそうさせてくれぬ。悶々してるうちに朝が来たことも幾度かある。 それが、一発で眠れた。 だがこの眠り、まったく理解を超えてた……ありのまま、起こったことを話そう。「私は、水樹奈々の朗読を聞き始めたと思ったら、いつのまにか朝になってた」。何を言っているのか、分からないと思うが、自分も、何されたのか分からない。快眠CDだとかチャチなものじゃなく、もっと恐ろしいものの片鱗を味わった。 それが『おやすみ、ロジャー 朗読CD』である。もとは「魔法のぐっすり絵本」と呼ばれており、小さな子どもの寝かしつけのために研究された絵本だ。喚起されるイメージや、音節のリズムを考