「おい、妹よ。この病院に来る道すがら気付いたんだけど、お前さ。もしかして流行の人工知能というやつなのでは?」 「えー失礼なー。れっきとした人間ですよ、たぶんー」 「いやだって、お前。面会といっても、こうして病院の地下室で曇りガラス越しに会話するだけだしな。ぶっちゃけ架空の存在と思われても仕方ないのでは?」 「たはー照れますなー。よくできた妹は、人工知能と区別が付かない的なー」 「褒めてねぇ。母さん亡くなった代わりに、生き別れの妹と再会できたと思ったら、こんなのってないだろう。父さんはまた失踪しちゃったし、たった一人の家族のことくらいは把握しておきたいんだよ。妹の髪とか目の色すら知らない兄とか、ぶっちゃけありえないだろう」 「そゆんのは、遺伝的に私とお兄ぃとで同じなのではー。知らないけどー」 「そうか、そんなに兄の顔が見たいか。悪友が大学デビュー手伝ってやるっていうから任せた結果、茶髪に染め