「アベノミクス解散」と銘打った総選挙で自民党が勝ちましたが、景気は悪くなっています。こういう状況を気にして、安倍政権は企業に「賃上げしろ」と求めています。特に麻生財務相は、きょうの記者会見で「企業に内部留保がたまっているので賃金に回すべきだ」といったそうですが、彼は内部留保って何か知ってるんでしょうか? 内部留保ということばは、企業会計にはありません。これは利益剰余金のことで、企業の純資産から資本金と資本準備金を引いた「利益のたくわえ」です。これが増えていることは事実で、図のように2012年には304兆円にのぼっています。 これを「企業貯蓄」と勘違いする人が多いのですが、そのほとんどは設備投資に使われており、たとえばトヨタでは12兆円あまりの利益剰余金のうち現金は2兆円程度です。これは売り上げから賃金などの経費を引いたものですから、内部留保から賃金を出すのは、賃金を2度出すことになります。