スポーツのリーダーと言えば、グイグイと引っ張っていく人を思い浮かべる人は多いのではないだろうか。 真面目で温厚、等身大の人じゃ務まらない。 いやいやちょっと待ってください。自分を飾らず、自分の弱さとも向き合いながら自分らしいリーダー像を確立した人が日本サッカー界にいる。 2016年シーズン、Jリーグと天皇杯を制した鹿島アントラーズの将、石井正忠監督その人である。あのレアル・マドリーを苦しめたクラブワールドカップ(CWC)の勇敢な戦いぶりは世界からも激賞された。 シーズン中、結果が出ないことで心労によってダウンした苦い経験をバネに、鹿島OBの彼はリーグ制覇から7年遠ざかっていた常勝軍団を復活させたのだった。 これまでと変わらず「石井さん」と呼んでくれ ――石井監督は鹿島の前身である住友金属サッカー部時代から所属し、97年までアントラーズでプレー。02年からトップチームのコーチを長年務め、15