刊行直後から各紙誌の書評にたびたび取り上げられ、発売2ヵ月で5刷が決定。今大きな反響を呼んでいる時代小説『高瀬庄左衛門御留書』をご存知だろうか。 舞台は江戸時代。架空の藩、神山藩の下級武士である高瀬庄左衛門が主人公だ。50歳を前に妻を亡くし、息子をも事故で亡くしている。寂寥と悔恨の中で、息子の嫁だった志穂とともに手慰みに絵を描きながら、ただ倹しく老いていく日々。だがゆっくりと確実に、庄左衛門は藩の政争に巻き込まれていく――というストーリー。 「上役からの理不尽な仕打ちに苦しむ下級武士」という、しばしばある構図にとどまらず、自分を理解してくれる上の立場の人間もいれば、自分のことなど気にも留めていないが藩の政治に欠かせない人物もいる……というように、組織内の人間を多面的に描いているところにも、独自の視点を感じさせる。 著者の砂原浩太朗さんは、文芸編集者からフリーランスのライター、校正者を経て作
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