文化を生む仕組みも、それが時代や地域を問わずに当てはまるものであるには、シンプルでなければならないだろう。複雑な仕組みで生まれるパターンであれば、それはきっとごく限られた条件下でしか生まれえず、普遍的なものとはなり得ないからである。 文化にもいくつかの構造のパターンがあるが、そのパターンの違いをマクロな特性の違いと解釈すれば、その由来を個人間の相互作用の特性の違いに求められるかもしれない。物理学の発想によれば、人間に一般的な相互作用を数理モデルで表現して、パラメータを変えてシミュレーションすることで、多様な構造のそれぞれが生まれる条件が得られるはずだ。 「普遍人類学」という学問が目指すこと 筆者は普遍人類学という新しい学問分野を提唱する。遠く離れた地域によく似た文化の構造が見られるとすれば、それは「人間が集まって社会をつくる限り、なんらかの条件さえ満たされれば、必然的に生まれる構造」なので