実際には私はもう、電車に乗ること自体が嫌になっていた。 何しろプラットフォームが禁煙だからで、地上駅なのにバカバカしいこと限りなく、所詮少数に過ぎない嫌煙勢力に屈する鉄道会社が呪わしかった。 何も吸いたくてならないというわけではなくても、このような愚行が許せないのである。 だが、もちろん誰もいないようなフォームの片隅で吸っていても駅員はやってくるし、駅員とやりあってもただ疲れるだけで、だからもう電車自体が嫌であった。 むしろ、フォームへ上がったとたんに電車が来ると、これで駅員とやり合わずに済む、と安堵するくらいであった。 その日は一時くらいに家を出た。 明大前で乗り換えて新宿へ出て、途中に新幹線の切符売り場があったので、試しにやってみたら、まだ「禁煙」「喫煙」の表示が残っていて、しかしむろん喫煙席は存在しないのが悔しかった。そこから埼京線に乗る。 普通電車に長く乗っているのも、新幹線に乗る