きわめて珍しい本ではないだろうか。『出島遊女と阿蘭陀通詞--日蘭交流の陰の立役者』(勉誠出版)。鎖国の時代にオランダ商館が置かれた長崎の出島。そこの通訳にスポットを当てた本は知っているが、「遊女」は初耳だ。 歴史の陰に女あり――出島の遊女は陰でどんな活躍をしたのか。ミステリーじみた興味もわいてくる。 男性より女性が多い 本書の冒頭で、一枚の古い絵が紹介される。「出島阿蘭陀屋舗景」。出島の様子を描いている。今でいえばドローンで撮影したような俯瞰図だ。建物の外観だけでなく、内部の様子や通りを歩いている人物も判別できる。意外なほど女性が多い。男性が22、3人。女性が何と26人。内訳は洗濯女が1人、他はすべて遊女たちだ。二階の窓から顔をのぞかせている。 当時の出島は一般の日本人にとって禁断の場所だった。出入りが許されたのは、ごく限られた人だけ。その中に「傾城」がいた。城を傾けさせるほどの美人。すな
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く