「二兎(にと)を追う者は一兎(いっと)をも得ず」。中国の故事か何かに由来していそうだが、これ実は古代ギリシャ起源で欧州に広く分布することわざという。日本には明治に入ってきて、修身の教科書で広まったらしい▲ことわざ研究家の北村孝一(きたむら・よしかつ)さんによると、「溺れる者はわらをもつかむ」「火のないところに煙はたたない」など日本では西洋のことわざがそれと知られずに定着している。漢文調の「大山鳴動(たいざんめいどう)してネズミ一匹」もその一つだという▲「山々が産気づいて、滑稽(こっけい)なネズミが一匹生まれる」というラテン語に由来し、西洋では大口をたたく人をからかうことわざだそうだ。これに対して日本では社会的騒動の顚末(てんまつ)を表すことが多い。たとえば大学入学共通テストである▲英語民間試験が事実上白紙化されたと思ったら、今一つの看板だった国語と数学の記述式試験も延期になるらしい。来週に