私は何よりもこれを勧めます。体系的で簡単的確、すぐに索引できるというのもありますが、一番の理由は「活用語がまとめられていること」です。方言について書かれた一般書は、多くが地域独自の名称の一覧です。読み物としてはそれが面白いのでしょうが、翻訳ということを考えたときには実用的ではありません。この「日本のことばシリーズ」は語彙は巻末に表としてまとめられていて、まずは文法が逐一解説されています。動詞、形容詞、形容動詞、助動詞の活用語尾の変化が一覧になっているのです。翻訳は、これに沿うだけで自然と完成します。 ちなみに、「いかるっか」などの語形変化をみるかぎり、哩姫が使っているのは福岡県弁ではなく佐賀県弁ですのでご注意ください。さらに、佐賀でもいくつかの語圏に分類されます。そこまで気をつける必要もないとは思いますが… ・『即訳!ふくおか方言集』 中村萬里編 西日本新聞社編