今朝の朝日新聞を見ると、また同紙が文字を大きくするという。文字拡大競争なんてまだやってるのかと呆れた。 文字拡大競争の口火を切ったのはその朝日新聞で、30年ほど前に「電算写植」を導入した同紙が、「文字が大きくなりました」と大々的に宣伝したのが始まりだ。それまでの1段15文字を14文字に改めたものであるが、活字を使わない印刷方法を導入したことから活字を作り直す手間が不要であるため、他紙に先駆けてこのようなことをやったものだ。 その後、読売新聞や毎日新聞といった競合他紙も追随し、さらなる大文字化は競合他紙の方が先行した。 かつての文字は、戦時中、少ないページ数に多量の情報を詰め込むために文字を小さくし、文字の形を扁平にした時代の名残であり、よくお年寄りが拡大鏡を使って新聞を読んでいた。だから、いくらなんでもあの時代の文字は小さ過ぎ、適度に拡大されたのは時代の流れだっただろう。新聞のページ数も、
告発サイト「ウィキリークス」が大量の米国の外交公電を公開し、米国だけでなく、諸国の政府から包囲網を形成しつつある。 もちろん、機密を暴露された米政府が激怒するのはわかるが、この問題でのマスメディアの姿勢は何なのか? 11月23日、東京・六本木ヒルズで、慶應義塾大学SFC(湘南藤沢キャンパス)のORF(オープンリサーチフォーラム)が開かれた。そこで「メディアと民主主義」というパネル討論が開催された。ここでの議論を引用しながら、現在の日本のマスメディアの奇妙なポジションを解読する。 言論空間を失った新聞界 パネル討論で、慶應大学の清水唯一朗准教授は、日本の新聞の歴史を概説した。 明治維新後、自由民権運動などを連動して日本には多数の新聞が生まれた。1882年(明治15年)には355紙あったという。その頃は、ニュースよりも主張が中心だった。A党支持、B党支持など旗幟鮮明な論説を掲げ、大衆に訴えかけ
大阪地検特捜部で郵便不正事件を摘発した検事はだれか? この質問に答えるのは今ではそれほど難しくないはずだ。 主任検事は前田恒彦であり、彼を指揮する立場にあった特捜部長は大坪弘道、同副部長は佐賀元明だ。大阪地検のトップである検事正や次席検事ポストにあった検事を認識できる人もいるだろう。 前田、大坪、佐賀の3人とも、連日のように新聞に顔写真付きで登場したからだ。郵政不正事件に絡んだデータ改ざん・隠ぺい事件で逮捕・起訴され、「捜査する側」から「捜査される側」へ転じたためだ。 郵便不正事件の摘発に取り組んでいた当時、3人は「捜査する側」として新聞に取り上げられただろうか。厚労省の雇用均等・児童家庭局長だった村木厚子を逮捕した時はどうだったか。 紙面上では、郵便不正事件に絡んで組織としての大阪地検は数え切れないほど紙面をにぎわしているにもかかわらず、同事件を率いていた3人が登場することはほとんどなか
「ホリエモン」こと元ライブドア社長、堀江貴文が書いた小説『拝金』が売れている。なぜこんなタイトルなのかというと、「拝金主義者」と呼ばれていた彼の体験を基にしているからだ。 「拝金主義者」として堀江に負けず劣らず有名だったのが、通称「村上ファンド」の代表を務めていた村上世彰だ。「物言う株主」として投資先企業の経営に注文を付けるなどで、堀江と同じ六本木ヒルズを拠点にしながら時代の寵児に躍り出た。 奈落の底に落ちるのも早かった。インサイダー取引の疑いが浮上した2006年、東京地検特捜部に逮捕・起訴され、ファンドは実質的に崩壊した。堀江が逮捕・起訴されてから数ヵ月後のことだった。堀江と同様に、1審に続いて2審でも有罪判決を受け、現在は最高裁の判決待ちだ。 当時の新聞紙面を点検すると、「検察寄りの一方的な報道」という点で、村上ファンド事件はライブドア事件と並んで際立っている。なぜなのか。 村上はメデ
相も変わらぬ「初めにストーリーありき」の強引な捜査と「リーク頼み」の報道、反省も自戒もなし! 今回、検察は簡単に3人を逮捕した。いかにも早すぎる。何かを隠そうとしているのだろう。そしてお次は正義のヒロイン登場。できすぎだ。検察の意図を知ってか知らずか、新聞がそのお先棒を担ぐ。 次長検事が記者にサービス 10月6日早朝、大阪・都島にある大阪拘置所の待合室には、13人の新聞・テレビの記者たちが集まっていた。いずれも大坪弘道・大阪地検前特捜部長との接見を申請していたが、 「今日は別に面会予定が入っていますので、面会はできません、と本人が言っています」 と係員に告げられ、空しく待合室を後にした。なかには、「なんだよ、受けたのは時事通信(の取材)だけかよ」と毒づく記者もいた。 前特捜部長が、拘置所内で取材を受けるという異常事態。 大阪地検特捜部を舞台にした証拠捏造事件は、大坪前特捜部長、佐賀元明前特
「ソーシャル・ジャーナリズム」のビジネスモデルはできるのか 田原総一朗、長谷川幸洋、佐々木俊尚、津田大介シンポジウム vol.2 津田: いまメディアに対してもにも政治に対しても閉塞感が広がっています。たぶんネットで小沢一郎さんを支持していた人は、小沢一郎ならそれを打破してくれるんじゃないかと、というところがあったと思うんです。 僕は情報通信政策とかが専門分野ですけど、やっぱり「小沢さんか、菅さんか」という選択なら、小沢さんのほうが良かったかなという気がします。今回、原口(一博)さんが総務大臣を降ろされましたよね。 原口さんにはいろんな評価があるとは思いますけど、原口さんになったことで、いままでの総務大臣だったら間違いなく議題にも上らせなかったような問題が議論されることになりました。 電波オークションの話だとか日本版FCC(通信・放送委員会)を作りましょうという話だとか、いろいろな第三者機
国際会議の取材現場では、日本の新聞社の「速報ニュース至上主義」が浮き彫りになる。これを象徴するのがぶら下がり取材だ。 記者は、歩いて移動中の取材対象者に「ぶら下がる」ようにして質問する。会議を終えてホテルに向かおうとする取材対象者を取り囲んだり、記者会見を終えて会見場を出ようとする取材対象者をつかまえたりするのだ。 独自取材そっちのけで、いわば「突撃取材」に走り回るわけだ。これは今も昔も変わらない。 個人的には1990年代半ばを思い出す。日本経済新聞のチューリヒ支局長としてスイスに駐在していた。 国際機関が集中するスイスでは国際会議を取材し、要人にぶら下がる機会が多かった。他国の新聞記者と比べて自らの行動を観察できたため、当時の体験は今も鮮明に覚えている。 チューリヒには日経新聞と同様に、欧米系の有力経済紙が支局を置いていた。米ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)と英フィナンシャル・タ
厳重な警備が敷かれるなか、世界20ヵ国・地域(G20)の首脳会議(サミット)が開かれ、世界経済について議論している。会議場周辺では、アメリカ主導のイラク戦争や中国の人権抑圧などに抗議する非政府組織(NGO)がデモ行進している。 さて、あなたが新聞の編集者なら、1面に使うサミット関連写真をどう選ぶか。首脳が笑顔で一堂に会している写真か。それともデモ隊と警察が対峙している写真か。どちらの写真を使うかで、ジャーナリストとしての根源的な価値観を問われる。 G20首脳は「サミットが成功している」との印象を与えたい一方で、NGOは「サミットは間違っている」と訴えたい。単純化すると、G20首脳の写真を使う新聞は「権力寄り」、NGOの写真を使う新聞は「市民寄り」と色分けできる。 その意味で、サミットをめぐる報道はリトマス試験紙として使える。その結果は? 日本勢は「権力寄り」、アメリカ勢は「市民寄り」だ。
佐々木(ITジャーナリスト):菅直人政権が誕生したとき、新聞は各紙一面に政治部長のコラムが載っていたじゃないですか。軒並み、「菅政権は反小沢か、親小沢か」などといった話ばかり書いている。 そんな記事を読んでいると、財政破綻一歩手前で、また格差社会もここに極まれりみたいな社会状況になっている中で、そんなことが政治の一番の中心軸になっているので本当にいいのかっていう思いがしていました。 私だけではなく読んでいる側は、そんなことが関心事ではないですよ。 たとえば、僕が取材しているIT業界では、これまで議論されてきた「光の道」とか電子教科書、電子カルテなどといったIT政策が、菅首相に代わったことでどう変わるのかに興味があるわけですよ。 世の中全体としても、菅さんがどういう格差社会対策、景気浮揚対策をやってくれるのかというところに、みんな関心を持っています。実は「小沢か、反小沢か」というのは、あまり
佐々木俊尚(ITジャーナリスト)×長谷川幸洋(東京新聞論説委員)vol.1 「新聞記者はなぜ権力のポチになるのか」 長谷川:いま政治とメディア、ジャーナリズムの関係が大きく変わろうとしていると私は感じるんです。 一般の方が政治を見たり聞いたりするのは、やっはりメディアを通してです。ナマの永田町を見る機会はなかなか少ない。メディアを通して映像や、あるいは紙面で見ている。だから普通の国民にとってはメディアが描く姿が政治そのものなんです。 だけど、メディアが描いているものが政治の底流、本当の問題を十分に明らかにしているかといえば、まずそこに疑問があります。 その一方で、テレビとか新聞とか、あるいは雑誌とかいったこれまでのマスメディアとは別に、ツィッターなりブログなり、あるいは昨日の(新総理)記者会見も生中継したニコ動、そういったメディアも新しく出ていきて、メディア自身が拡がりました。そのことによ
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