前作『驚きの介護民俗学』(医学書院)読んだ衝撃はとても大きかった。民俗学者である著者が、新たに選んだ仕事の場所は老人ホームだった。ルーティンの仕事に追われるある日、ふと聞いた昔話に民俗学の背景を見た。若いころの経験や仕事、恋愛、結婚のことを老人たちは嬉々として語ってくれたのだ。「傾聴」が大切と言われる老人介護だが、その方法は本当にあっているのだろうか。 そう問いかけた前作は多くの人から支持され、20以上の媒体で書評として取り上げられ、第2回日本医学ジャーナリスト協会賞も受賞した。 『介護民俗学へようこそ!「すまいるほーむ」の物語』は仕事場を小規模デイサービスに変えた著者が見つけた発見と驚きを綴っていく。 以前の大規模な老人ホームと違い、ひとりひとりとの関係は密接だ。年齢も病歴も家族関係も、要介護度も様々だが、スタッフたちが心がけるのは「すまいるほーむは楽しい」と思ってもらうこと。著者の六車