お待たせしました! ようやく第35回で紹介した新聞発表の話に戻りたいと思う。 あれは「NTTと大阪大学は、『量子テレポーテーション』を使った量子計算に成功したと発表した。この技術は、量子コンピュータの実現に有望だとされており、実現への突破口が開かれたとされている」という話だった。 量子コンピュータは原理的には、通常のコンピュータが演算に利用している「ビット」を「量子ビット」で置き換えたものだという話を覚えておられるだろうか。 この「量子ビット」をどうやって実現するかが、量子コンピュータを実際に作るうえでの課題なのだが、NTTと阪大は、そこに量子テレポーテーションを応用したというのである。 前回も書いたが、量子テレポーテーションのアイデアは、量子の絡み合いを利用して、絡み合った量子の片方から片方に情報を伝達しようというものだ。 NTTと阪大の研究は、このアイデアを元に、量子テレポーテーション