二宮清純レポート 最多勝2回の天才投手がついに引退 斉藤和巳 35歳元ソフトバンク投手 投げたくても投げられなかったあの日々が財産なんです 沢村賞を獲ったとき、斉藤は常に取り巻きに囲まれていた。しかしその後、故障。残ったのは心から支えてくれる人だけになった。男はその波乱の野球人生で、勝利数よりも大切なものを学んだ。 田中将大との因縁 今季、東北楽天の田中将大が開幕から勝ち星を積み重ねるたびに、セミリタイア状態のひとりのピッチャーにスポットライトが当たった。 福岡ソフトバンクの斉藤和巳である。肩書はリハビリ担当コーチ。実に6シーズンもマウンドから遠ざかっていた。 8月2日、田中は無傷の開幕15連勝で、ついに斉藤が'05年にマークした日本記録に並んだ。その後、彼は記録を24にまで伸ばす。 田中に並ばれた日、斉藤は次のようなコメントを発した。 「僕とは次元が違うところでやっている。自分はいつか負