9月30日、全156話を駆け抜け、最終回を迎えた、朝ドラこと連続テレビ小説『ひよっこ』(2017年4〜9月)。高度成長期、お父さんの突然の失踪によって、茨城から東京に働きに出てきた女の子みね子(有村架純)が、たくさんに人たちとふれあった4年間の物語の最終回、みね子は結婚という幸せを獲得した。記憶喪失になったお父さん(沢村一樹)の記憶が戻るのかと思いきや、劇的な展開はなく、ほんのちょっとだけ前進しているくらいにとどまった。最終週で歌われた「365歩のマーチ」の「3歩進んで2歩下がる」くらいのささやかさだ。 「ひよっこ」は最初から一貫して、日々の暮らしを丁寧に描くというスタイルで、登場人物は、誰一人として特別な何かをもった人はいない。とりわけ、主人公は、大きな夢や目標もなく、日々を生きることにせいいっぱい。漫画家が、彼女を主人公のモデルにしたら、地味すぎて困ってしまうほどだが、彼女はマイペース