沖縄の出版社ボーダーインクから『沖縄で新聞記者になる:本土出身者たちが語る沖縄とジャーナリズム』(ボーダー新書)を出版しました。この本で検討したのは、本土で生まれ育ち沖縄に移り住んで新聞記者になった人たちの、あまり知られていない経験です。 沖縄島には2つの有力な地方紙――琉球新報と沖縄タイムスがあります。この2紙は、戦後の沖縄でいくつも発行された新聞との競争を勝ち抜いてきた新聞です。日本にはほとんどの県に有力地方紙(県紙)が1紙ありますが、沖縄では珍しく2紙が競い合っています。 沖縄の新聞社は、本土の新聞社とはすこし違います。戦後27年間も米軍の支配下に置かれてきたため、社員の県民(≓ウチナーンチュ)の比率が高いのです。戦後沖縄の言論は「沖縄人(ウチナーンチュ)の沖縄人による沖縄人のためのジャーナリズムだった」と言ってよいと思いますが、90年代以降、本土出身者が2紙の試験を受けて記者になる