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ブックマーク / www.newsweekjapan.jp/fujisaki (14)

  • 人道支援団体を根拠なく攻撃してなぜか儲かる「誹謗中傷ビジネス」

    暇空茜氏は都知事選に立候補し、一度も公に姿を表さないまま11万票を集めた(7月6日、東京銀座) Damon Coulter / SOPA Images via Reuters Connect <訴えられて損害賠償を命じられてもペイするというビジネスモデルの背後にいるのは誰か> 一昨年から始まる「不正会計」デマをきっかけとして、貧困やDVなどの困難を抱えた10代女性を支援する団体Colaboが様々な誹謗中傷を受けている問題で、7月18日、誹謗中傷のきっかけをつくった「暇空茜」を名乗る人物に対して損害賠償を求めた裁判で、暇空氏に220万円の賠償と投稿の削除を命じる判決が出た。昨年3月に出た、Colaboの会計に不正はなしとした東京都の監査結果と合わせて、暇空氏のデマによって女性支援団体の活動が妨害されたという事実が、公的に認められたことになる。 しかしこれで問題が決着したわけではない。暇空氏と

    人道支援団体を根拠なく攻撃してなぜか儲かる「誹謗中傷ビジネス」
  • 「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗衣氏への名誉棄損に対する賠償命令

    <誹謗中傷で訴訟を起こされた被告が訴訟費用を上回るカンパを集め、さらに裁判過程をコンテンツ化して儲ける「ビジネス」が増えている> 4月18日、文学者の北村紗衣氏が、ネット上で「山内雁琳」を名乗る男性から受けた誹謗中傷を、名誉毀損だとして訴えた裁判の判決が東京地裁で下された。その内容は、雁琳氏は北村氏に対して慰謝料及び弁護士費用の合計220万円を支払うべしというものだった。同種の裁判と比べると、220万円という金額は重いとされている。 原告代理人が「被害者ではなく加害者がカンパを募る「誹謗中傷ビジネス」に対して、裁判所が歯止めをかけた重要な貴重な判決」と述べているように、この判決は、ネット上の誹謗中傷とその裁判がコンテンツとして収益化される風潮に一石を投じるかもしれない。 発端は別の誹謗中傷事件 事の発端は、文学者でフェミニスト批評を行っている北村紗衣氏が、歴史学者である呉座勇一氏のセミクロ

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗衣氏への名誉棄損に対する賠償命令
  • 自民党はなぜ杉田水脈議員の暴走を止めないのか

    内閣支持率が最低を更新中の岸田文雄首相(7月11日、東京の自民党部) Rodrigo Reyes Marin/REUTERS <杉田水脈衆院議員は、一連の差別発言について反省するどころか差別を煽るような投稿を繰り返している。SNSを中心に支持者によるヘイトスピーチの再生産も行われている> 7年前のブログの記述が民族差別に当たるとして9月と10月に札幌と大阪の法務局から「人権侵犯」認定された自民党の杉田水脈衆院議員の暴走が止まらない。これまで数々の差別発言が問題になってきた杉田議員だが、今回の件を受けてもなお、自身の言動が差別であったことを認めず、ヘイトスピーチを更に重ねている。 杉田議員が折れないことにより、SNS等ではそれを応援する者などによるヘイトスピーチがむしろ激しくなっている。こうした混乱については、杉田議員が所属する自民党にも責任がある。だが自民党はいまなお、杉田議員に対する処

    自民党はなぜ杉田水脈議員の暴走を止めないのか
  • 『仮面ライダー BLACK SUN』──「非暴力という欺瞞」を暴く問題作

    『仮面ライダー BLACK SUN』の仮面ライダーSHADOWMOON(左)、BLACK SUN(右) (C)石森プロ・東映 (C)「仮面ライダーBLACK SUN」PROJECT(マグミクス) <怪人たちは差別と闘うために物理的な暴力を選択する。レイシストには一片の優しさもないこの作品が問いかけるもの> *ネタバレを含みます 1989年の特撮番組『仮面ライダー BLACK』のリメイクドラマ『仮面ライダー BLACK SUN』が「Amazon Prime」で配信されている。前作はいわゆる「子供向け」のヒーロー番組だったが、作は逆にテーマ設定やグロテスクな表現も含め、全くの大人向け作品として仕上げられている。 虐げられた者たちの反乱 筆者は旧作『仮面ライダー BLACK』の直撃世代だ。次作の『仮面ライダー BLACK RX』も含め、ちょうど仮面ライダーが現在のように1年ごとのTVシリーズと

    『仮面ライダー BLACK SUN』──「非暴力という欺瞞」を暴く問題作
  • 岸田政権は潔く国葬を撤回せよ

    岸田首相も、国葬の判断を早まったと感じているかもしれない  Eugene Hoshiko/REUTERS <さまざまな計算違いでここまで大ごとになってしまった国葬問題で試されているのは、岸田首相の「撤退力」だ> 7月8日に銃撃事件で亡くなった安倍晋三元首相の「国葬儀」が9月27日に行われる予定だ。しかし法的根拠の曖昧さや旧統一協会問題への関心への高まりにより、世論調査では国葬に反対する声が多数派となった。当初目論まれていた海外の大物政治家の弔問もほとんどない。反対する声を押し切って国葬を強行する意味はあるのだろうか。招待状の発送など国葬の既成事実化が進んでいるが、今からでも止めたほうが岸田政権のためでもあるのではないか。 銃撃当初のムードが一変 筆者は7月に「安倍元首相の国葬に反対する」という記事を出した。安倍晋三元首相の功績には論争の余地があり他の首相経験者に対して特別扱いする根拠はない

    岸田政権は潔く国葬を撤回せよ
  • ウルトラマンがウクライナ侵攻の時代に甦ることになった意味

    <3.11を踏まえて原作を震災ナショナリズムの物語に書き換えた『シン・ゴジラ』と違い、『シン・ウルトラマン』はあくまで原作の哲学を踏襲し、さらにコロナで公開が延期になるという偶然が重なって、啓示的な作品になった> 2022年5月13日、SF特撮映画シン・ウルトラマン』(企画・脚:庵野秀明、監督、樋口真嗣)が公開された。2015年公開の映画『シン・ゴジラ』のスタッフがつくる『シン・〇〇』シリーズの第二弾ということで期待が集まり、観客動員数は8日間で100万人を超えた。映画の内容については賛否両論がある。ウルトラシリーズのファンからは概ね高い評価を得ているが、「シナリオがダイジェスト的である」「演出面におけるジェンダー描写が古い」といった声も耳にしつつ、筆者も遅ればせながら鑑賞してきた。 ジェンダー問題について まず公開当初から大きな議論となっていた、演出やカメラアングルがヒロインの長澤ま

    ウルトラマンがウクライナ侵攻の時代に甦ることになった意味
  • ヒトラーにたとえるのは「国際的にご法度」か|ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト

    国際ホロコーストデー(1月27日)に、ベルリンのホロコースト記念碑に献花するイスラエルとドイツの政府首脳。世界でナチスがどのように語られてきたのか、日人も知るべきだ REUTERS-John Macdougall <菅元首相が橋下元維新の会代表の「弁舌の巧みさ」をヒトラーになぞらえたことに対し、橋下は「国際的にご法度」と反発。世間からははとくに異議も出ず、元首相の失言であるかのように事態は収束したが、それでいいのか> 1月21日、立憲民主党の菅直人元首相が、Twitterで元維新の会代表の橋下徹弁護士を「弁舌の巧みさでは......ヒットラーを思い起こす」と評した。これに対して橋下徹氏は「ヒトラーへ重ね合わす批判は国際的にはご法度」と述べ、また吉村洋文大阪府知事は「国際法上ありえない」と反発した。維新の会は、26日、立憲民主党に抗議文を送っている。 ヒトラーにたとえて批判することが「国際

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  • ドラマ『新聞記者』で感じる日本政治へのストレス

    カタルシスはなくても、現実の森友学園問題に即したドラマが作られたのは画期的(写真は2017年4月) Kim Kyung-Hoon-REUTERS <現実に即した結果、政府が正義と真実を曲げるだけ曲げて、最後までカタルシスがないドラマだが、事件の当事者たちは諦めずに真実を追求している> 2022年1月より、2019年に公開された映画『新聞記者』(藤井道人監督)のドラマ版がNetflix製作で配信され、話題を呼んでいる。今回のドラマは映画版とは異なるストーリーで展開している。どちらも政治腐敗とメディア統制を主題にしているのは一緒だが、映画版が加計学園問題を主題とし最終的には完全なファンタジーへと至るのに対し、ドラマ版では森友問題を中心に、より現実の不正事件をモデルとした物語を描こうとしている。 世間の評価 この物語は、日のドラマにしては珍しくアクチュアルな政治問題を真正面から扱っており、主に

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  • ドラマ『相棒』の脚本家を怒らせた日本のある傾向

    デモは市民の重要な権利の1つだが(写真は2021年8月、東京・新宿区の五輪反対デモ) Issei Kato-REUTERS <非正規雇用の待遇問題をテーマにした人気ドラマの元日スペシャルでは、正社員との待遇格差に抗議する女性たちを戯画化し嘲笑うようなシーンが足されていた> 1月1日、TV朝日の人気テレビドラマシリーズ『相棒』の特別編『相棒season20 元日スペシャル #11』が放送された。毎回好評のドラマスペシャルで、視聴率も14%を記録したそうだ。しかし放送直後、同作品の脚家である太田愛が自身のブログを更新し、脚の意図にはそぐわない、存在しないシーンが追加されたことを告発し、話題となっている。 今作は非正規雇用の待遇問題をテーマに、格差社会・自己責任論・新自由主義思想を批判する内容だったが、追加されたシーンは非正規雇用の待遇改善を訴える市民運動を揶揄するものであった。 この改変に

    ドラマ『相棒』の脚本家を怒らせた日本のある傾向
  • 岸田首相はDappi疑惑を放置して衆院選を戦うのか

    「聞き上手」でも臭いものに蓋をするのは同じ?(10月14日、記者会見) Eugene Hoshiko/REUTERS <自民党が野党に対するデマを広める目的で、この匿名ツイッターアカウントを利用していたとすれば、河井克行元法相が対立候補を貶める架空ブログを業者に書かせていたことに匹敵する事件だ> 10月9日、オーストリアのセバスティアン・クルツ首相が、自分に有利な報道を流すようマスメディアを買収していた疑惑が発覚し、辞任した。一方、日でも、ある企業が運営するSNSアカウントが、政権与党と通じて野党や野党議員に対するデマを流したり誹謗中傷をおこなっていたりしていたという疑惑が持ち上がっている。 マスコミを買収して自分に有利な世論調査結果を報道させる クルツ首相は、2017年に当時31才で首相に就任し、極めて若い国家指導者として話題になった。所属政党の国民党は中道右派政党だが、クルツは極右政

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  • たとえ菅が辞めようと、臨時国会を開かない自民党には政権を任せられない

    一年前に菅義偉を総裁に選び、守ってきたのは自民党だ(2020年9月14日) Kyodo/REUTERS <自民党は安倍政権のときから国会のチェックを受けることから逃げ続け、憲法の義務である臨時国会を開くことも拒んだ。今日のコロナ感染爆発を招いた責任も問わせないまま総選挙に突入する勢いだ> 7月16日、野党4党は憲法53条に基づく臨時国会召集要求を提出した。しかし一ヶ月半たった今も、国会が開かれる気配はない。政府与党はいろいろな理由をつけて臨時国会を先延ばしにしており、そうこうしているうちに9月3日、菅首相は月末に行われる自民党総裁選への不出馬を決めた。これによって自民党は後継者選びに忙しくなり、総選挙までに臨時国会を開こうとはしないだろう。政治空白とともに、事実上の無法政治が行われている。 立憲主義に反する政権 日国憲法では、次のように規定されている。「内閣は、国会の臨時会の召集を決定す

    たとえ菅が辞めようと、臨時国会を開かない自民党には政権を任せられない
  • 自宅療養で人々を見殺しにすると決めた菅首相

    <菅政権は全力で国民の生命を救おうとはしていない。何もしなくても「政権は安泰」と高を括っているからだ> 8月2日、政府は新型コロナウイルスで、「中等症」であっても「症状が軽い」あるいは「重症化リスクの少ない」患者に関しては、「自宅療養」を可とする方針を出した。これまでは原則的にコロナ患者は入院、無症状や軽症の場合は宿泊施設に入るという方針で進めていたが、その方針を転換したかたちだ。 オリンピックの開会式を含む7月の4連休以降、日全体に渡って新型コロナウイルスの急増がみられ、特に東京では一日4000人を越える感染者が出ている。すでに小池百合子都知事は比較的軽症の独身者に対して「自宅を病床のようなかたちで」と「自宅療養」を勧めていた。また、今年春に大阪で感染者が急増した際、入院もホテルなどの施設に入ることもできず、自宅でほぼ放置された患者が続出した。大阪の死者数の多さは、それが一因だと言われ

    自宅療養で人々を見殺しにすると決めた菅首相
  • 池江選手に五輪辞退をお願いするのは酷くない

    東京五輪水泳会場の披露式典に参加した池江選手(2020年10月24日、東京都江東区) Issei Kato-REUTERS <アスリートと一般市民の利害は今や根的に対立している。そうさせたのは、コロナ無策のまま五輪を強行しようとする政権の姿勢だ> 5月7日、オリンピック水泳日本代表の池江璃花子選手がTwitterを更新し、選手選考会以後、オリンピック辞退や反対の表明を求めるコメントがSNSなどに寄せられ、中には心ない内容のものもあったとして、「私に反対の声を求めても、私は何も変えることができません」「この暗い世の中をいち早く変えたい、そんな気持ちは皆さんと同じように強く持っています。ですが、それを選手個人に当てるのはとても苦しいです」「頑張っている選手をどんな状況になっても暖かく見守っていてほしいなと思います」と綴った。 このツイートは直ちに各社のニュース記事になり、池江選手には同情の声

    池江選手に五輪辞退をお願いするのは酷くない
  • 「コロナ危機」に乗じた改憲を許すな

    <政府はコロナ危機を口実に、憲法に私権を制限する緊急事態条項を明記しようとしているが、ロックダウンは現行憲法の下でも可能だった。やる気がなかっただけだ> 新型コロナウイルス感染者数が首都圏や京阪神地域で急増していることにともない、4月26日から東京都や大阪府で三回目の緊急事態宣言が発令されている。二回目の緊急事態宣言解除後から行うとされた政府の蔓延防止政策はあっさり失敗した。今や大阪府は事実上の医療崩壊状態となり、東京都も後に続くだろうといわれている。 コロナ対応の失敗 コロナ封じ込めに成功している国も多い東アジア・太平洋地域において、日では感染者・死者数が拡大している。日はいわゆる変異型ウイルスの上陸を許してしまっており、かなり凶悪とされるインド株も見つかっている。 新型コロナウイルスに対する政府の失策は明らかだが、GW明けに国民投票法の強行採決を予定している与党自民党はここにきて、

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