「男のプライドを捨てられたらよかったのに」「息子さんだってお父さんが生きていてくれることを望んでいただろうにね」――。 この辛辣な言葉は、シングルファーザーの知人が自殺した際に、周囲の人が彼に向けた言葉だ。なぜ自殺した後ですら「男であること」を責められてしまうのか。その時の強烈な違和感をひとつの入り口として、『非モテの品格 男にとって「弱さ」とは何か』という本を執筆した――。 男だから弱い 近年、「男らしさ」の意味も変わってきている。「男は一つの会社に定年まで勤め、給料は妻と子供のために使う」という男性像は、すでに当たり前のものではなくなった。家庭生活も不安定になっている。その中で男性たちもまた、様々なアイデンティティの危機や、ジェンダーの揺らぎを抱えている。 しかしそうした状況に対して、男性たちはそもそも、自分たちが経験し、直面している痛みや葛藤をちゃんと語るための言葉をもっていないので