いじめ防止対策推進法は21日午前、参院本会議で自民、公明、民主各党などの賛成多数で可決、成立した。今秋施行される。 同法では、いじめの定義を「児童生徒が心身の苦痛を感じている」とするなど、客観性よりもいじめを受ける側の意向を重視した。いじめに遭った子どもの生命や財産に重大な被害が出るおそれがある場合に、学校から警察への通報を義務づけるとともに、学校に対し、教職員や心理の専門家などによるいじめ防止のための組織設置を求めた。保護者については、子どもの教育に「第一義的責任を有する」とし、規範意識を養うための指導を求める。インターネットを通じたいじめへの対策推進も打ち出した。 付帯決議には、いじめ防止のための組織に第三者を入れて公平性を確保することも盛り込まれた。文部科学省は、同法に基づき、対策の基本方針を定める。
旧文部省時代の昭和60年に実態調査を始めるなど、国がいじめ対策を本格化させてから28年。初めて、いじめ防止の法律が制定された。学校だけでなく国民全体にいじめ防止への機運が高まるとの期待がある一方、学校現場からは教師への負担増を懸念する声も。いじめ自殺の遺族からは「根本的な解決につながるのか」との疑問も出た。 「いじめ対策は学校だけでは限界があり、家庭や地域社会の協力が不可欠。学校現場だけでなく、国民全体にいじめ防止の意識が高まる」と法制化を評価するのは、元中学教員で東京学芸大教職大学院の今井文男特命教授。「学校を積極的に支えていくきっかけになるのではないか」と期待する。 学校現場の反応はどうか。東京都内の市立中学校長は「基本的に、これまでやってきたことが条文化された印象で、学校現場への影響はそれほどない」と冷静に受け止める。常設の「いじめ対策組織」については、「身内だけでなく、心理や福祉の
「息子が今生きている子供たちを助けるために命がけで作った法律だと思っている」「天国の子供たちに学校が変わったよと報告できるように頑張っていきたい」-。「いじめ防止対策推進法」の成立を受け、大津市で平成23年10月、いじめを受け自殺した市立中学2年の男子生徒=当時(13)=の父親(47)は21日、東京・霞が関の文部科学省で会見し、涙ながらに心情を語った。 父親は同日午前、参院本会議で同法の成立を見届けた後に記者会見。「地方自治体の条例制定や教育委員会による学校の指導で、この法律は初めて効果を発揮する」と指摘した上で、文科省に対し「地方自治体で法律の解釈に混乱が起きないよう、具体的なガイドラインを定めてほしい」と注文をつけた。 現場の教師に対しては「いじめを自ら話す子供はほとんどいない。教師がいじめを発見することが大前提で、常にアンテナを張りめぐらし、ささいな情報も見逃さず、しっかり親に報告し
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