私が中高生だった頃、まさに詰め込み教育、受験地獄批判花盛りで、知識偏重の教育の弊害が盛んに叫ばれた。官僚の不祥事やら、日本の国際競争力低下まで、何でもこれらの問題だとされ、教育改革が急務だとされていた。 ところが、それがいつのまにか臨時教育審議会によりゆとり教育という方向にまとまり、89年〜99年の間に「ゆとり教育」という理念の下での教育行政が推進された。 ところが、この答申の基づく教科書編集の結果、円周率を「3」と教えるといったデュテールな部分がセンセーショナルに報道され、「ゆとり教育批判」が展開される。ゆとり教育では「学ぶ力」を養うという理念で、子どもたちが学ぶ力を持てば、細かい知識は自習で獲得できるので、教える量は減らしても大丈夫という話であったが、やはりこれは理想論で、実際に学力低下批判にさらされ、この批判への反論はできなかった。 ところが今度は、80年代にさんざん議論されたことは