第二次世界大戦後に旧ソ連のシベリアなどの強制収容所に連行された元抑留者2人が60年以上の沈黙を破り、7日、兵庫県洲本市で開かれる講演会で自らの抑留体験を語る。氷点下50度になる極寒下での重労働や栄養失調、衰弱死…。これまで悲惨な記憶を口にすることはなかったが、「日本人の悲劇を後世の人たちに忘れてもらっては困る」と語り部となることを決意した。いまなお全容が明らかになっていない抑留生活を知る貴重な生き証人が歴史の真実を浮き彫りにする。 旧陸軍に所属していた渋谷京介さん(86)と岡本清さん(87)=ともに洲本市在住。 渋谷さんは、旧満州(中国東北部)で荒野を開拓しているときに陸軍に徴兵され、直後に終戦。ソ連軍(当時)に武装解除されてシベリアの森林地帯に送られた。真冬は氷点下50度にもなる過酷な環境下、木材の切り出し作業を強制された。食事は小さなパンが3個配給されるだけ。4人部屋で朝目覚めると自分