インタビューに答える久多良木健サイバーアイ・エンタテインメント社長=山本和生撮影 【大鹿靖明】日本の電機産業の競争力が失われ、雇用不安が高まっている。社会や文化に大きな変化をもたらすイノベーション(革新)を起こせなくなり、海外メーカーの攻勢に押されたからだ。なぜそうなったのか、巻き返しの目はあるのか――。世界を席巻したソニーのゲーム機プレイステーションの「生みの親」として知られる久多良木健氏に聞いた。 ――日本の電機産業になぜイノベーションが起きにくくなったのでしょう。 「ソニーに入社して最初の10年間は、ホントに好きなことがやれた。ブラウン管テレビ全盛の時代だったが、平面テレビがやりたくて、当時は金(きん)より高かった液晶素材を買って小さな液晶テレビを試作した。これが入社1年目。そういうことを勝手にやらせてくれた。そのあと世界最初の電子カメラの開発にかかわった。それが4年目だった」