大手出版社「講談社」の社員、朴鐘顕(パク・チョンヒョン)被告(43・韓国籍)が妻を殺害した疑いで2017年1月に逮捕された事件は、容疑者が漫画雑誌のエリート編集者だったことから、世間に大きな衝撃を与えた。あれから2年。今年2月から東京地裁で開かれた裁判員裁判の公判で浮かんだ“事件の鍵”は、被害者である妻の「育児ノイローゼ」だった。 京都大法学部出身の朴被告は1999年に講談社に入社。同社の主力商品の一つと言える「週刊少年マガジン」の編集などを経て、ベストセラーとなった「進撃の巨人」などを生んだ「別冊少年マガジン」の創刊に関与し、逮捕時は「モーニング」編集次長に就いていた。日本有数の出版社で編集者として「王道」を歩み、順風満帆のキャリアを積んでいたと言えるだろう。 事件は2016年8月9日に起きた。東京都文京区の朴被告の自宅で倒れていた妻佳菜子さん(当時38歳)が病院に搬送されたが、死亡が確