誕生から1年あまり。「持てる者も持たざる者も、平等に」という理念のもと、WHOや各国首脳、「ビル&メリンダ・ゲイツ財団」など幅広い支持を集めた枠組みは早くも機能不全を見せている。COVAXがアピールした「薄利多売」という製薬会社にとってのメリットは、資金力にモノを言わせた先進国のワクチン・ナショナリズムに対抗できない。 先進国にとっては“リスクヘッジ” 新型コロナウイルスのワクチンに関連したニュースで、COVAX、あるいはCOVAXファシリティという名称の供給の枠組みを目にすることは多いであろうが、その独特のメカニズムに関する説明は少ないように思える。ポイントは、「持てる者も持たざる者も、平等に」という考え方だ。 COVAXに参加する国や地域には、2種類ある。ひとつは、自ら資金を出して自らのためにワクチンを購入する国など。この文章では便宜的に「先進国」と呼ぶ。もうひとつは資金を出さずにワク