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ブックマーク / note.com/takeuchi_kazuto (4)

  • 指揮官の無能さを心理的に分析する『軍事的無能の心理学』(1976)の紹介|武内和人|戦争から人と社会を考える

    軍事史では、平時に高い地位についた軍人が、戦時にひどい失敗を重ねた事例が数多く記されています。このような軍人は一軍の司令官として大きな権限を持っているにもかかわらず、戦地で発生した問題を適切に解決できず、何ら有効な手を打たないか、あるいは非現実的な対策を講じて事態を悪化させ、軍隊に損失を与えます。 このような事象が起こる要因に関しては、軍事社会学や軍事心理学の分野で議論されていますが、ひときわ大きな影響を及ぼした研究者の一人にノーマン・ディクソン(Norman Dixon)がいます。第二次世界大戦(1939~1945)に陸軍将校として従軍した経験を持つイギリスの心理学者であり、ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドンの教授を務めました。彼の『軍事的無能の心理学』(1976)は出版された当時から多くの論争を引き起こした著作として知られています。 Dixon, Norman. 2016(1976)

    指揮官の無能さを心理的に分析する『軍事的無能の心理学』(1976)の紹介|武内和人|戦争から人と社会を考える
  • 国力の限界を超えて戦争に突き進む国家では独特な政治的力学が働いている:『帝国の神話』の書評|武内和人|戦争から人と社会を考える

    世界の歴史を調べていると、自らの国力で対処できる限界をはるかに超えて勢力の拡大を図る過剰拡張(overexpansion)によって失敗した国家が決して少なくないことに驚かされます。 一部の国は勢力を拡大する機会を見つけても、それが軍事的に失敗したときのリスクや、国際社会の反応を予想し、開戦を踏みとどまります。しかし、一部の国は果てしない戦争に自ら飛び込み、勝つ見込みがないまま戦い続けることになります。第二次世界大戦における日の対外政策も、典型的な過剰拡張の事例と解釈することができるでしょう。 アメリカ政治学者ジャック・スナイダーの著作『帝国の神話:国際的野心の国内政治(Myths of Empire: Domestic Politics and International Ambition)』(1991)はこのような一見すると不可解な対外政策が採用される理由を説明する理論を示した研究成

    国力の限界を超えて戦争に突き進む国家では独特な政治的力学が働いている:『帝国の神話』の書評|武内和人|戦争から人と社会を考える
    kaionji
    kaionji 2022/02/21
  • 部隊の戦闘力は指揮の構造だけで大きく変化する『軍事力を指揮する』の紹介|武内和人|戦争から人と社会を考える

    戦場における部隊の戦闘力を評価する際には、兵士や装備などを単位とした数量で比較しがちです。しかし、多くの研究者が定量的指標で見落とされがちな部隊の編成、兵士の士気、あるいは作戦の基となるドクトリンの内容なども戦闘力に及ぼす影響が大きいと報告しており、それぞれの分野で因果メカニズムの分析が進められてきました。 指揮も注目されることが多いトピックです。近年では情報革命の成果を取り入れ、戦闘部隊の戦闘力を飛躍的に向上させることが期待されているのですが、具体的にどのような指揮関係を設定すれば、部隊の作戦行動にとって最適と言えるのか、議論は定まっていません。 ライアン・グラウアーの著作『軍事力を指揮する(Commanding Military Power)』(2016)はこの議論に貢献した業績です。彼は戦争ではなく、個々の戦闘における指揮のあり方が部隊の戦闘力に及ぼす影響を分析しようとしています。

    部隊の戦闘力は指揮の構造だけで大きく変化する『軍事力を指揮する』の紹介|武内和人|戦争から人と社会を考える
  • なぜタリバンはアフガニスタンで20年も戦い続けられたのか? 『タリバンの戦争』の文献紹介|武内和人|戦争から人と社会を考える

    2021年現在、アフガニスタンの各地で武装勢力のタリバンが攻勢を強めています。2021年4月13日、米国のジョー・バイデン大統領はアフガニスタンに駐留する米軍の全部隊を9月11日(後日、8月31日に変更)までに撤退させることを発表しました。 米軍の全部隊が撤退しても、アフガニスタンにはタリバンに抵抗する能力があるというのがバイデン大統領の説明ですが、8月現在のタリバンはアフガニスタンの都市を次々と攻略し、勢力を急拡大させています。米国はタリバンと20年にわたって戦い続けてきましたが、アフガニスタンが抵抗力を発揮できなければ、2001年から続いたアフガニスタンの戦いの最終的な勝者はタリバンとなる見通しです。 20年近くにわたってタリバンが戦い続けることができた理由はさまざまあります。その詳しい勝因を知りたい方にAntonio Giustozziの『タリバンの戦争:2001-2018(The

    なぜタリバンはアフガニスタンで20年も戦い続けられたのか? 『タリバンの戦争』の文献紹介|武内和人|戦争から人と社会を考える
    kaionji
    kaionji 2021/08/14
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