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ブックマーク / kaze-no-katami.hatenablog.jp (213)

  • 新生老舗レストランを南青山に訪た <その1> - 風のかたみの日記

    此処は何処なのか。 キャンドルが揺れているからピアノが鳴って いるのだろう。 だがそれは現実の音ではないようだ。スペインか ポルトガルか…30年以前の昔だ。 夢に憑かれたように歩いたフランスの何処かか。 ピアノの調べが遠くなる…。 そして何故か私は古びた階段を登ってゆく。 すると冷やかな風が流れ出し入口に星が見えた…。 仰ぐと紛れもなくそれは元赤坂…。 夜空のタペストリー。 (以上、旧カナユニ・ホームページから引用) 「カナユニ」はオーナー横田 宏 氏が1966年、東京・元赤坂にて創業したフレンチ・レストラン。店名の由来は「カナ」り「ユニ」-クだと言う。後に人気メニューとなるオニオン・グラタンスープをあの三島由紀夫に絶賛せしめ、石原裕次郎を始め数多くの著名人を顧客に抱え、また現在ではすっかり定着した感のあるボージョレヌーヴォーを日で初めて紹介した等々、この店に纏わる逸話は枚挙に暇が無い。

    新生老舗レストランを南青山に訪た <その1> - 風のかたみの日記
  • 新生老舗レストランを南青山に訪た <序章> - 風のかたみの日記

    今年はなかなか梅雨が明けない。それどころか先日の「令和二年七月豪雨」により甚大な被害を被った地域に、更なる追い打ちをかけるかのような大雨が尚も降り続いている。 懸案の「新型コロナ禍」も同様。全く収まる気配は見えず、長引く不自由な生活に気分もまた曇りっぱなしなのである。 ところで最近、このブログの過去の記事が閲覧され、はてなスターが付いたとの通知が時折舞い込む。筆者としては誠にありがたい限りであり、素人とは言え「物書き冥利」に尽きる出来事である。この場を借りて読者の方々に厚く御礼申し上げる。 そこで、一体どの記事が読まれているのか気になり確認すると、中には文中に貼ったリンクが切れていたりする。ニュース記事などの外部リンクならば致し方無いが、これが以前自分が別のブログに書いたものの場合は、少し不親切ではないか。そう考えた。 そこで多少なりとも斯かる事態を改善しようというのが今回の企てである。と

    新生老舗レストランを南青山に訪た <序章> - 風のかたみの日記
  • ハーフは嫌(Half a year) - 風のかたみの日記

    そろそろブログを更新するタイミングかと思いつつ、いつものように全くやる気が出ない。そこで「はてなブログ」の「今週のお題」を覗くと「2020年上半期」の文字。どうやらこの半年間を振り返ってみようという企画らしい。 と、その時突然、楽する事ばかり考えている灰色の脳細胞を、あたかもガンマ線バーストのように名案が突き抜けた。「この半年の間に書いた記事の中から幾つかを選び、リンクを貼り付ければ一丁上がり。こんな美味しい『お題』を見逃す手は無い」 安直と言われようが手抜きと蔑まれようが、別に人様に迷惑をかける訳ではない。なまじ尤もらしい御託を並べ、思わぬ誤解を招いたり不快な印象を与えるよりは余程マシではないか。 早速状況を確認するとこの上半期に「花あり、あり、音楽あり」、良く言えばバラエティーに富んだ、実態は支離滅裂なブログを70編投稿している事が判明。この中から各月1編を目安とし、改めて御紹介申し

    ハーフは嫌(Half a year) - 風のかたみの日記
  • 新年会するぅ - 風のかたみの日記

    ♪ 1月は正月で酒が飲めるぞ 酒が飲める飲めるぞ 酒が飲めるぞ ♪ と歌う「酒が飲める音頭」をご存知の方は多分少ないと思うが、1月10日に投稿した「正月には福べて」に続き、またしても「新年会するぅ」(スルーではない)なのである。 今回肴に選んだのは、先日たまたまテレビで視て、無性にべたくなった「串揚げ」。 揚げ物はトンカツをはじめ海老や牡蠣、鯵フライに至るまで、決して嫌いではないものの、如何せん熱量が高くデブる素なので、普段は極力避けている料理だ。 因みにダイエットの中には、油を吸った衣を剝がし、中身だけべると良い等とふざけた事を書いた物もあるが、だったら最初からべなければいいだけの話だ、と思う。 それでも一旦行くと決めたからには、早速ネットで候補の検索開始。「ソース二度づけ禁止」を声高に謳うコテコテの関西風の店も悪くはないが、滅多にべる物ではないし、何と言っても正月である。慎

    新年会するぅ - 風のかたみの日記
  • 季節の花(文月) - 風のかたみの日記

    今年もまた記録的な豪雨により各地に甚大な災害が発生、数多くの掛け替えのない命と財産を奪った。このようなニュースを見る度に、これだけ科学が進んだ現代、しかもその最先端を行く日において、未だに自然災害を防ぎきれないという現実をもどかしく思うが、そのような発想は神をも恐れぬ思い上がった所業なのだろうか。 「少しでも命が助かる可能性の高い行動を」。その言葉の重みを、今更ながらに痛感せざるを得ない。未だ油断は出来ないものの今は先ず、被災地の一日も早い復旧と、なお一層の治水対策の整備を願うばかりだ。 そして防ぎきれないと言えば、相変わらず「新型コロナウイルス」の感染。この流行が広く認知されるようになって既に半年以上が経過する。しかし今なお収束の見通しは立たず、それどころか感染者の絶対数は増加を続けている。 三密の回避、マスクの着用、ソーシャルディスタンスの順守。自分なりにそれらを実行している心算でも

    季節の花(文月) - 風のかたみの日記
  • 今週のお題「納豆」(用も無いのに納豆売りが) - 風のかたみの日記

    久し振りに「今週のお題」について書いてみようと思う。因みにそのお題は「納豆」。何故この時期に納豆なのか考えてみたが、思い当るのは精々7月10日が語呂合わせ(7=ナ、10=トウ)で「納豆の日」だという事位しかない。 それはさておき、結論から先に言えば私は納豆が好きではない、というかはっきり言って嫌いだ。全く何が悲しくてわざわざ腐った豆などべなければならないのかと思う。「否、腐っているのではなく発酵しているのだ」。そういう反論が束になって押し寄せる事は百も承知。しかし、だからと言って嫌いなものが好きになる訳ではない。 私が「納豆」を嫌う理由は極めて明快だ。何よりも先ず「美味しくない」。そして「臭い」。更に「ネバネバと糸を引く」。以上の三点が挙げられる。 「美味しさ」については人間の五感や品の旨味成分等を科学的に分析、研究したレポートもあるが、要は個人の嗜好と考えるべきであろう。とすれば「納

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  • 夏の始めのハーモニー(都人への密かなるオマージュ) - 風のかたみの日記

    先日たまたまYouTubeで海上自衛隊の歌姫、三宅由佳莉三等海曹の歌を聞き、甚く感銘を受けた。確かにあのような圧倒的歌唱力の独唱は、他の追従を許さないものがあると思う。しかし、それでも子供の頃からサイモン&ガーファンクルやCSN&Y、キャンディーズのフリークである私は、矢張りハモりが無いと何となく物足りないように感じてしまう。 という事で今回はその「ハモ」について深く掘り下げてみようと考えた。そこで早速「鱧」である。なんのこっちゃ。 ところで世の中には「長いもの」が苦手という人がいて、土用の丑の日などには一切興味は無く、全く鰻をべなかったり、中には写真を見ただけで嫌悪感を持つ場合もある。従ってそのような方は、これから先へは進まない事をお勧めする。 さて、かく言う私は「長いもの」の中で鰻は普通にべるが、流石に蛇は嫌いであるし、鰻と同じ仲間のウツボはべようとは思わない。因みに穴子もあまり

    夏の始めのハーモニー(都人への密かなるオマージュ) - 風のかたみの日記
  • バンカーの思い出(或いは失われたパトス) - 風のかたみの日記

    一年前、新橋烏森にある小さな飲み屋が、ひっそりとその歴史に幕を閉じた。 「バンカー」と言う名のその店は、元来、銀座のホステスだった女性が始めたもので、彼女が引退した後は息子の「マスター」がそれを継ぎ、一時期、若い女の子を雇った事もあったが、ここ数年は彼が一人で切り盛りしていた。 私は大学を卒業後サラリーマンになり、漸く新しい生活に慣れた頃から、部署は違うが同じ事務所内の先輩二人とつるんで行動する事が多くなっていた。 我々三人は仕事を終えると、同じビル内の居酒屋に集合。取敢えずビールとツマミで腹ごしらえをしてから、専らその「バンカー」に入り浸り、深夜まで酒ばかり飲んでいた。 そこはカウンターとボックス席を合わせて10人程で一杯になる狭い空間で、主たる客は元ホステスの頃から「ママ」の贔屓筋だった年配男性達。彼等は8トラックのカラオケのマイクを奪い合うように、リズムと音程の不一致度を競い合ってい

    バンカーの思い出(或いは失われたパトス) - 風のかたみの日記
  • 梅雨の晴れ間 - 風のかたみの日記

    暫く天気の悪い日が続いた。「梅雨だから仕方がない」と言ってしまえば身も蓋もないが、7月2日、この日は予報通り朝から「これはもう出掛けるしかない」ような快晴。取敢えず55~200mmのズームレンズを装着したミラーレス一眼だけを手に車に乗る。行き先は午前9時に開園する「川口グリーンセンター」。 駐車場を出て直ぐ、バイクに乗った近所のラーメン屋の主人に会った。恐らく昨日出前した器を回収しているのだろう。いつも通り私が右手を上げ合図すると、同じように返事をしてくれた。そう言えば暫く店に顔を出していない。 目的地への道すがら、好きな洋楽のCDに合わせ大声で歌いながらの運転。これは自粛ストレスの発散手段として、すっかりマイブームになった感がある。 埼玉県川口市立「川口グリーンセンター」は日の都市庭園100選にも選定された植物園だが、今般のコロナ禍により4月から休園。緊急事態宣言が解除された5月25

    梅雨の晴れ間 - 風のかたみの日記
  • 新型コロナで失くしたもの - 風のかたみの日記

    美々卯 京橋店 『二度あることは三度ある』その言葉に従えば、前回、前々回で投稿したレポとも店の紹介ともつかない料理写真張り付け記事を書けるのも、残すところあと一回。読者諸氏に於かれても、うんざりする事無く『仏の顔も四度』まで延長する心算で何卒お目こぼし願いたい。 さて、唐突ではあるが「うどん」か「蕎麦」かと問われれば、あなたはどちらを選ぶだろうか。私の場合は間違いなく蕎麦である。 子供の頃は御多分に漏れずスパゲティ小僧だったが、歳と共に次第に洋から和へと嗜好も移行、気が付けばいつの間にか蕎麦党に名を連ねるようになっていた。 では何故「うどん」ではないのか。蕎麦の方が物繊維が豊富で、蕎麦湯には血管を強くするルチンが含まれている、などという健康志向の問題では無い。考えてみれば特に「うどん」を嫌う理由も見当たらず、要は太い麺が苦手なだけなのかも知れない。 それでも年に一度、鍋が恋しい季節にな

    新型コロナで失くしたもの - 風のかたみの日記
    kaiyumaru
    kaiyumaru 2020/06/30
    綺麗なんですよね癒されます、レベルが違いますね有難うございます宜しくです
  • たまに行くならこんな店 - 風のかたみの日記

    「味を占める」= 一度経験した利益に味を覚えて、またそれを望む。(広辞苑 第六版) そうなのである。私は味を占めてしまったのである。七面倒くさい理論を捏ね繰り回したり、何の役にも立たない美辞麗句を並べ立てたり、如何にも尤もらしい人生訓を宣うたり、人の神経を逆撫でするアジテーションを喚いたり・・・。別にそんな事をしなくても、美味しそうな料理の写真を何枚か張り付けるだけで、充分にブログは成り立つのである。 いきなり年甲斐もなく、世を拗ねたような書き出しから始めてしまったが、実際のところ文章を書くのが大儀に思えて仕方が無い。勿論、何も書かなくても何ら問題がない事は充分承知。それでも数日間、投稿せずにいると次第に不安を感じる。これはもう明らかに「新型はてなウイルス」に感染した兆候だ。 そこで考えたのは、またしても自分で作った訳でもない「料理写真の羅列」という安易な道の選択だ。有難い事に前回の日

    たまに行くならこんな店 - 風のかたみの日記
    kaiyumaru
    kaiyumaru 2020/06/26
    最高ですね有難うございます宜しくです
  • あの素晴らしい夜をもう一度 - 風のかたみの日記

    フェイスブックに登録している方ならご存知の事と思うが、メニューの中に「思い出」という機能がある。これは当該日と同じ月日に以前自分がシェアした写真や文章がある場合、それを表示し改めてシェアを可能とするものだ。 重要案件とは違い殆どは細かい日付など記憶していない出来事なので、ある意味備忘録的な役割を果たし、自分でも感慨深い事柄も多い。 そして今回「最近の出来事から過去の思い出まで、Facebookでの思い出の数々を振り返ってみよう」という直訳風日語と共に現れたのは、昨年事に出かけた東京都中央区日橋室町にある日料理レストラン「ざくろ」の記事。 そこで私の灰色の脳細胞が閃いた。 『今更フェイスブックでシェアしても詰まらないし、これを流用し写真を貼り付ければ、多少ページの表示が重くなるにしても、いつものショーも無い文章を捻りだす手間も省け、手っ取り早くブログが一つ完成するのではないか』 とい

    あの素晴らしい夜をもう一度 - 風のかたみの日記
    kaiyumaru
    kaiyumaru 2020/06/23
    いい所でご飯を食べたら美味しいですよね有難うございました宜しくです
  • 季節の花(水無月2) - 風のかたみの日記

    梅雨入り宣言から凡そ一週間余り。真夏を思わせる気温の中、流石にマスクを付けたまま炎天下を歩くのは、かなり危険である事を体感した。そして漸く昨夜から雨が降り続き、梅雨らしい肌寒い朝が訪れた。 新型コロナウイルスに伴う緊急事態宣言解除後も、料買い出しは相変わらず三日に一度を守っているが、このところスーパーに行くと熟した梅の実が大量に並べられているのが目に付く。 それを見て私は、昨年久し振りに「梅酒」を漬けた事を思い出した。 上の写真は昨年仕込んだ時のもの。それが一年経つと下のようになる。 試飲してみると、これが甘い。否、甘過ぎる。明らかに氷砂糖の入れ過ぎである。フェイスブックの友人からソーダ割りにすればいいとアドバイスを貰ったが、どうしても飲みたい訳ではないので、暫く様子を見る事にした。その内、10年物になるかも知れない。 ところで雨が続くと困るのは先ず洗濯だ。我が家には乾燥機が無いので部屋

    季節の花(水無月2) - 風のかたみの日記
  • 季節の花(水無月1) - 風のかたみの日記

    暫くの間ブログの事は忘れてリフレッシュしようと考えた。「主語と述語の関係は正しいか、漢字は間違っていないか、『てにをは』は妥当か」等々、日常生活をする上であまり重要ではない事柄を考える手間から逃れたかったのだ。 ところがどっこい、そうは問屋が卸さない。あろうことか安眠を貪る私の夢の中に「新型はてなウイルス」が侵入し、その夢の中で私はパソコンを立ち上げ、何やら一所懸命に文章をタイプしているのである。 そして目覚めると、どうした事か、つい先ほど書いた筈の素晴らしい名文は何処かへ消え失せ、そこには煌々と明かりを点けたまま、寝落ちした自分がいるだけなのだ。 思いの外、この病は重い。もう暫く休養が必要と思われる。 ところが更新を怠っている間にも前回のブログに付された「はてなスター」は増殖を続け、今やその数何と580。このままでは立寄って下さった読者の方々に対し、申し訳が立たないのである。 という訳で

    季節の花(水無月1) - 風のかたみの日記
  • 青春浪漫 告別演奏會顛末記 21 - 風のかたみの日記

    13.「あのさあ・・・」ダンディーはそう切り出した フェアウェル・コンサートが終わって数日間、クマはライブレコーディングした2の90分テープを何度も繰り返し聴いていた。アグリーは凡そ20名からこの録音テープの注文を受けていたが、そのままダビングするのではなく、編集して何とか1にまとめたかったのだ。 しかし明らかに不要な部分を削っても、半分の90分内に収めるには演目をカットするしかなく、出来ればそれは避けたかった。長時間録音が可能な120分のカセットテープがある事は勿論知っていたが、著しく耐久性に欠ける事は誰もが認めるところであり、散々悩んだ末、最終的には仕方なくそれを採用することに決めた。値段はテープの仕入原価のみとし、手間賃等は一切勤労奉仕だった。 そしてその頃、全く違う目的を持って、あの「2-4インケングループ」と呼ばれていた集団が、クマの知らないところで、まるでボランティアのよう

    青春浪漫 告別演奏會顛末記 21 - 風のかたみの日記
    kaiyumaru
    kaiyumaru 2020/06/04
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  • 青春浪漫 告別演奏會顛末記 20 - 風のかたみの日記

    12.「Don't Think Twice, It's All Right」クマは呟くように口ずさんだ とにかく終わったのだ。アグリーはコンサートを録音したテープの注文を取って回っていた。クマのところにはヒナコとムーがやって来て、「3年で同じクラスです、よろしくお願いします。」と挨拶した。彼はその事を知らなかったが、珍しく愛想笑いを浮かべて新しい同級生に「こちらこそよろしく。」と返答した。 その後、ナッパが例のカラオケテープを返しに来た。「これ表の方も聞いちゃった。いい声ね。」クマは予想通りの成り行きに『それで、ほら、他に何か言うことはないの? 例えば、私も実は前からクマさんの事が好きだったとか、春休みにデートに誘って欲しいとか・・・』と期待したが、やはり何も無かった。 それは来クマが言うべき言葉だったのだ。しかし彼はこの期に及んで尚、自分の気持ちを悟られまいと、わざと怒った振りをしただ

    青春浪漫 告別演奏會顛末記 20 - 風のかたみの日記
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    kaiyumaru 2020/06/04
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  • 青春浪漫 告別演奏會顛末記 19 - 風のかたみの日記

    11.「せっかく・・・」センヌキは恨みがましく非難した 所を三年四組に移して、マイクのセッティングやミキシングの調整が行われ、それが終わるとナッパから春休みに実施する最期のクラス合宿の説明があった。彼女は白いブラウスの襟元に細い黒のリボンを飾り、白いニットのベスト、淡いピンクのミニスカート、そして白いハイソックスと、殆どアグネス・チャンの衣装そのものだった。 教室を見渡すと客の入りはパラパラと三十名程度、尤もその内の1/3は出演者とスタッフだったが、どういう訳か女生徒に絶大な人気を誇る「まり子先生」こと米原教員が来ている事が異例と言えば異例だった。 それでもクマやアグリーが充分満足していたのは言うまでもない。昨年12月にほんの思いつきから立ち上げたコンサートが、今まさに始まろうとしているのだ。 クマがミュートしたギターでリズムを刻み、センヌキが歌い始めた。名曲「青い目のジュディ」の最後のリ

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    kaiyumaru 2020/06/02
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  • 青春浪漫 告別演奏會顛末記 17 - 風のかたみの日記

    10.『すべてとお別れだ』クマは心の中で呟いた (1) フェアウェル・コンサートを数日後に控えて、センヌキの家での I, S & N の練習は連日夜まで続けられた。しかし今まで吉田拓郎の歌が全てだと信じてきたセンヌキに、クマの高度というよりは、単にマニアックなだけの変則チューニングを使った演奏は、摩訶不思議な世界に過ぎず理解出来る筈も無い。いつまでたっても自分のパートを覚えられずにいる彼にクマは露骨に嫌な顔をしながら、何度も教え込まなければならなかった。 さて、ここで彼等が使っている変則チューニングについて少し触れたい。 基は以前にも述べたDチューニング = DADF#ADで、特にクマは自作曲にも多用したお気に入りの調弦だ。これはオーソドックス・チューニングのDとも相性が良く、PANで左右に振ってフィンガリングすると絶妙な雰囲気を醸し出す。 星の妖精/風のかたみの日記 同じD系では、DA

    青春浪漫 告別演奏會顛末記 17 - 風のかたみの日記
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    kaiyumaru 2020/05/31
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  • 青春浪漫 告別演奏會顛末記 16 - 風のかたみの日記

    9.「何故もっと早く・・・」ダンディーが恨み言を言った 再びレッスンが始められたが、ナッパの生まれつきとも考えられるリズム感の無さから、これ以上の練習は時間の無駄のように思えた。『小中学校の音楽の授業を、彼女は一体どうやって乗り越えて来たのだろう』クマがそんな事を考えていると、アグネス・チャン・ファンクラブ会員に成りたてのカメが、カラオケテープを作り彼女が家に帰ってからも練習出来るようにしたらと、珍しく賢い事を言った。 早速録音に取り掛かろうとしたものの、肝心な空テープが無い。ところが運の悪い事に、クマの一作目のオリジナル作品集「1973.11」のB面が空いたまま、偶々センヌキが持っていたのだ。 「これにしよう。」イタズラ小僧が新たな企てを思い付いた時のように、センヌキは得意げな笑みを浮かべて、そのテープをクマの前に突き出した。 『えっ。』クマは一瞬、顔面蒼白になった。何故ならこのカセット

    青春浪漫 告別演奏會顛末記 16 - 風のかたみの日記
    kaiyumaru
    kaiyumaru 2020/05/30
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  • 青春浪漫 告別演奏會顛末記 15 - 風のかたみの日記

    8.「♩...♩...」ニッカは必死にリズムを刻んだ ナッパは正門脇にある自転車置き場の前で待っていた。『いやあ、お待たせしてゴメン。さあ行きましょうか』と言おうとしたクマは、彼女の隣にニッカが立っているのを見て、思わず言葉に詰まってしまった。 「ニッカが付き添いで来てくれるって。」ナッパは嬉しそうに言った。 アガタはクマの不運を笑いながら行ってしまい、てっきり彼女が一人で来るものと信じ込んでいたクマは、仕方なしに二人を促して歩き出した。 尤も考えてみれば、いくら同級生とは言え、男子ばかり屯している場所に女の子一人で行く事に不安を覚えるのは至極当然の事であった。しかし人生経験の浅いクマは、そこまで読み切れなかったのだ。 『何か話さねば』この機会にナッパとの距離を少しでも縮めたいと焦るクマの前には、お馴染み「インケングループ」の見えない壁が立ちはだかり、彼を拒んでいるかのように二人はケラケラ

    青春浪漫 告別演奏會顛末記 15 - 風のかたみの日記
    kaiyumaru
    kaiyumaru 2020/05/29
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