💠朧朧たる夢の終わりと朝月夜的なBGM💠 🎼 written by 鷹尾まさき(タカオマサキ) 当帝の外戚の大臣一派が極端な圧迫をして 源氏に不愉快な目を見せることが多くなって行く。 つとめて冷静にはしていても、 このままで置けば今以上な禍いが起こって来るかもしれぬと 源氏は思うようになった。 源氏が隠栖の地に擬している須磨という所は、 昔は相当に家などもあったが、 近ごろはさびれて人口も稀薄になり、 漁夫の住んでいる数もわずかであると源氏は聞いていたが、 田舎といっても人の多い所で、 引き締まりのない隠栖になってしまってはいやであるし、 そうかといって、京にあまり遠くては、 人には言えぬことではあるが夫人のことが 気がかりでならぬであろうしと、 煩悶《はんもん》した結果須磨へ行こうと決心した。 この際は源氏の心に上ってくる過去も未来も皆悲しかった。 【源氏物語 第十二帖 須磨(すま