💠🎼モノローグ written by Koke💠 いとわしく思った都も、 いよいよ遠くへ離れて行こうとする時になっては、 捨て去りがたい気のするものの多いことを源氏は感じていた。 その中でも若い夫人が、 近づく別れを日々に悲しんでいる様子の哀れさは 何にもまさっていたましかった。 この人とはどんなことがあっても 再会を遂げようという覚悟はあっても、 考えてみれば、 一日二日の外泊をしていても恋しさに堪えられなかったし、 女王もその間は同じように心細がっていたそんな間柄であるから、 幾年と期間の定まった別居でもなし、 無常の人世では、 仮の別れが永久の別れになるやも計られないのであると、 源氏は悲しくて、 そっといっしょに 伴って行こうという気持ちになることもあるのであるが、 そうした寂しい須磨のような所に、 海岸へ波の寄ってくるほかは、 人の来訪することもない住居《すまい》に、 この