ポイント ・2010年に米国政府の標準暗号技術の一部が切り替わる ・暗号技術には,安全性を保てなくなるという“寿命”がある ・「標準」規格の切り替えに備え,基本の仕組みを理解しよう Webシステム,顧客管理システム,文書管理システムなど,企業において暗号技術はさまざまなシステムで利用されている。今や暗号技術は,情報システムを支える重要な基盤技術の一つである。 その暗号技術において,「2010年問題」と呼ばれる大きな変化が待ち受けている。引き金となるのは,米NIST(国立標準技術研究所)。米国政府が調達するシステムで使う暗号技術の規格を定めており,現在一般に広く使われている「SHA-1」というハッシュ(元になるメッセージを縮めて容量の小さな値を作ること)の規格を2010年に除外し,より安全性の高い「SHA-2」だけにすると発表した(図1)。 暗号技術でNISTは世界的に影響力を持っているので