1955年に見つかった後、正体不明のまま博物館の収蔵庫で眠り続けていた化石の謎が60年以上の時を超えて今年、解明された。世界2例目となる魚類の化石で、これまで知られていなかった体の特徴や生きていた年代に関する情報をもたらす、貴重な「発見」となった。手がかりになったのは、化石に添えられていた1枚の紙片だった。 今回の発見のように、各地の博物館の収蔵庫には「宝物」が学術的な価値を認識されないまま数多く保管されている。ただ、管理方法もばらばらでアクセスは簡単ではない。データベース化して一元管理する動きも始まっている。(共同通信=岩村賢人) ▽ふと目に止まった一つの箱 2012年、東京都文京区にある東京大総合研究博物館。当時、大学院生だった中島保寿さん(現在は東京都市大准教授)は、収蔵庫で保管中の標本を整理していた。棚に積み重なったプラスチック製のコンテナを開け、中身を確認する。脊椎動物、魚、貝、