「11月の声を聞くと自然に体がワクワクするような感覚になります。まるで運動会で一等賞を狙う前日のような感じで、昔から代々漁師でしたから遺伝子がそうなっているのでしょうかね」 >>三陸のアワビ漁の様子と「オットセイ王」と呼ばれた水上助三郎 このような意気込みを吐露するのは岩手県宮古市の太平洋の外洋に面した重茂(おもえ)の60代の漁師Sさんである。長年の潮に晒された赤銅色の顔には深い皺が覆っているが、目はまるで少年のように輝いている。 アワビの本場 Sさんが指摘しているのは11月の「アワビの口開け」(=アワビ漁の解禁)である。岩手県のルールでは口開けは11月と12月の僅か2カ月だけで大体10回があてられているが、外洋に面しているこの辺りは時化が多いので口開けが中止になることは珍しいことではなく、そうなると1月まで伸びることもある。漁の開始は午前7時から10時半までで、漁師は自由にアワビを採るこ
