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  • 高山宏の読んで生き、書いて死ぬ�:�『パラドックスの詩人 ジョン・ダン』岡村眞紀子(英宝社)

    →紀伊國屋書店で購入 あまりにもみごとに閉じた<開け>の ロザリー・L・コリーといえば、ルネサンス後半(今日流にいうマニエリスム)におけるパラドックスの各局面での大流行を、ことに英国について論じた決定的な仕事であまりにも有名な研究者である。シェイクスピアについてパラドックスを見た(もちろんそれ以外の視点からもいろいろ論じられている)『シェイクスピアの生ける芸術』という大冊は現在某版元で邦訳進行中と聞くし、主著『パラドクシア・エピデミカ』はぼく自身、長年の約束を果たすべく、少しは暇がとれるようになったこの頃、意を決して河出書房新社から再度邦訳に挑戦中である。なにしろ「文化と精読」の両極にこれだけ達芸の人もいないし、庭狂いのアンドルー・マーヴェルの庭詩パラドックス(→先回書評を参照)を大著に仕上げた『我が「谺(こだま)する歌」』も併せれば、マージョリー・ニコルソン級か、ひょっとしたらフランセ

    高山宏の読んで生き、書いて死ぬ�:�『パラドックスの詩人 ジョン・ダン』岡村眞紀子(英宝社)
  • 『夜中に犬に起きた奇妙な事件』マーク・ハッドン(早川書房) - 書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

    →紀伊國屋ウェブストアで購入 「読んで学ぶ自閉症」 昨年、アメリカの精神科診断基準DSMが19年ぶりに改訂され、自閉症スペクトラム障害(Autistic Spectrum Disorder: ASD)という新たな診断基準が登場した。アスペルガーの呼称も抹殺され、あれだけ世間を騒がせた(広範性)発達障害も消去された。スペクトラムという怪しい概念が、診断基準に堂々と登場したことも新奇な現象で、未来の生物学的仕分けを念頭に、納戸がリフォームされたようなものだ。精神科の診断学は、生まれつき?性格?環境?病気?といった輻湊する境界線のもつれを相手に奮闘してきた歴史であって、DSMもその途上の道の駅にすぎない。 途上とはいえ、自閉症は1943年に記載されてから、その名称を保持したまま今日にいたる。その典型的特徴は、映画『レインマン』(1988)のダスティン・ホフマンの演技に見ることができて、自閉症を知

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    kamanobe
    kamanobe 2014/02/14
    自閉症の少年が主人公のミステリ小説。面白そう。
  • 『歌うネアンデルタール』スティーヴン・ミズン、熊谷淳子訳(早川書房) & 『言葉と脳と心』山鳥 重(講談社現代新書) - 書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

    →紀伊國屋書店で購入 →紀伊國屋書店で購入 最近、気になっていることがある。言語と音楽の共通点だ。双方とも人類ならではのコミュニケーション手段だが、そこにはルールが存在する。言語には「単語」という部品があり、それらを組み合わせるための「文法」が存在する。西洋音楽にも普遍的な共通認識があり(たとえば長調の響きは明るく、短調は暗い、など)、それらを手立てに感情の起伏を表現することができる。これらは「似て非なるもの」なのだろうか。私としてはふたつの根っこは同じであり、それらの底辺にもっと原始的な共通項となる「動物的な感覚」があるような気がしてならないのだ。 そして見つけたのがこの2冊だ。『歌うネアンデルタール』は以前から気になっていただが、『言葉と脳と心』はこうした私の疑問を知った臨床医から紹介されたものである。 言語と音楽の共通点として私が注目しているのは「抑揚」だ。「アクセント」「強弱」と

    『歌うネアンデルタール』スティーヴン・ミズン、熊谷淳子訳(早川書房) & 『言葉と脳と心』山鳥 重(講談社現代新書) - 書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG
    kamanobe
    kamanobe 2013/09/13
    言語の音声?要素によって人格のパターンが作られる可能性。<『歌うネアンデルタール』スティーヴン・ミズン、熊谷淳子訳(早川書房) & 『言葉と脳と心』山鳥 重(講談社現代新書) :今井顕の書評ブログ
  • 『皮膚感覚と人間のこころ』傅田光洋(新潮選書) - 書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

    →紀伊國屋ウェブストアで購入 「ハード・サイエンスの彼岸」 皮膚は気になる存在として、臨床の随(まにま)に立ち現れる。著者が強調するように、発生学上、皮膚は脳や感覚器同様、外胚葉由来の臓器である。脳と皮膚は同郷の好(よしみ)なのだ。しかも、自己意識は、触覚をはじめとする体性感覚を萌芽とするはずで、脳というシステムと記憶装置によって発達していく。あるいは、体性感覚が脳のシステム自体を発達させていくと言った方が適確ですらあるのかも知れない。してみると、二つの臓器の寿命の格差も意味深長だ。脳細胞も一途に死滅するばかりでなく再生されているようだが長寿と言うほかなく、皮膚は1ヵ月間ばかりの短い周期で死と再生を繰り返している。脳で築かれた自己意識という牙城は、皮膚からの絶えざる情報更新なくしては崩れ落ちる化城なのかも知れない。などなど、思いつきの連想は果てない。 さて、この二つの臓器、原郷を共有しなが

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    kamanobe
    kamanobe 2013/04/22
    資生堂研究所所属の研究者の皮膚科学本。
  • 『説得』ジェーン・オースティン作、中野康司訳(ちくま文庫) - 書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

    →紀伊國屋書店で購入 →紀伊國屋書店で購入 →紀伊國屋書店で購入 「驚嘆すべき地味さ」 卒論や修論のテーマが話題になる季節である。英文学界隈で相変わらず人気を保っているのは、シェイクスピアとならんでジェーン・オースティン。今年はおなじみの『高慢と偏見』とならんで、『説得』をとりあげた人がいて「おっ」と思った。 オースティンの中では『説得』(Persuasion)はかなりしぶ~い作品だ。だいたいタイトルにある「説得」という語からして、満々と渋みをはらんでいる。来、説得とか口説きと言えば、英文学的伝統の中でももっとも華やかな身振りのはずである。シェイクスピアの『ソネット集』にしても、ジョン・ダンの変態的な詩の数々にしても、アンドリュー・マーヴェルのこの上なく甘美な「はにかむ恋人へ」にしても、いかに上手に、派手に、ひねりを利かせて口説くかが書き手の腕の見せ所となってきた。口説きの瞬間こそが文学

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    kamanobe
    kamanobe 2013/01/28
    魅力的なレビュー。つい、そそられる。
  • 『学校を災害が襲うとき 教師たちの3・11』田端健人(春秋社) - 書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

    →紀伊國屋書店で購入 「震災をプラスに変える」 あの日から二年が経とうとしている。今も引きも切らず出されている3・11関連の中で、書にめぐり会えた読者は幸せである。ここには、東日大震災の経験が明らかにし、今後も伝えていくべき何かが、記されている。それは、一言で言えば、人間の強さであり、もっと言えば、学校という場所によってそれが強められるということである。 書は、2011年3月11日、大地震と大津波に襲われた宮城県沿岸部の学校に勤務していた教員たちに聞き取り調査したインタビュー記録を、再構成したものである。著者田端は宮城教育大学准教授、学校教育の現場をとくにその哲学的側面に関して専門に研究している気鋭の学究である。普段から学校現場を訪れ、現場研究を行なってきた、そのスペシャリストが、2011年夏以降、津波被害の大きかった学校を回り、10名の教師に被災当時の様子を尋ねた「災害エスノグラ

    『学校を災害が襲うとき 教師たちの3・11』田端健人(春秋社) - 書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG
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    kamanobe 2013/01/11
    『学校を災害が襲うとき 教師たちの3・11』田端健人(春秋社) :森一郎の書評ブログ
  • 東京大学(英米文学)・阿部公彦の書評ブログ : 『三月兎の耳をつけてほんとの話を書くわたし』川上亜紀(思潮社)

    →紀伊國屋書店で購入 「散文って窮屈じゃないですか?」 10年前の「グリーンカルテ」を読んで以来、何となく気になってきた書き手である。「グリーンカルテ」は数年前ついに単行となったが、必ずしも多作な人ではないから、新しい作品が出て「あ、出た」と思った。今回は詩集。その冒頭の表題作二篇「三月兎の耳をつけてほんとの話を書くわたし」(*と**)がとてもいい。この2つのためだけでも、手に取る価値のある詩集だ。 現代詩の居場所ということを考える。詩は最古のジャンルで云々とあちこちで言われてきたし、筆者もそれは大事なことだと思うのだが、その一方で詩は「古さ」だけに依然して生き延びているわけでもない。今や詩は日陰のジャンルであることが定着した感があるが、それでも人がときに詩で語る必要を感じるのは、散文の「まともさ」に窮屈な思いをするからではないかと思う。 散文は最低限の身支度を調えた言葉である。もちろん

    東京大学(英米文学)・阿部公彦の書評ブログ : 『三月兎の耳をつけてほんとの話を書くわたし』川上亜紀(思潮社)
    kamanobe
    kamanobe 2012/05/18
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  • 『情報の呼吸法』津田大介(朝日出版社) - 書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

    →紀伊國屋書店で購入 「「ソーシャルメディアのフロンティア」にしか見えない風景」 書は、ジャーナリスト/メディア・アクティビストの津田大介氏が、ソーシャルメディアについての現状に触れながら、今後の向き合い方や使いこなし方について、実践的な提案を行っているものである。 文体も読みやすく内容も具体的なので、関心のある方々にとっては、格好のソーシャルメディア入門といえるだろう。 評者にとっては2章以降が抜群に面白かった。いうなれば、まさにソーシャルメディアの最先端にいるものでなければ見えない景色が垣間見える思いだった。いや、著作のタイトルになぞらえるならば、フロンティアにしか吸えない空気があるというべきだろうか。 「フォロー数は300~500人くらいが最適」(P67)といったように、経験に基づいたアドバイスやエピソードが目白押しなのだ。 他にも、情報はストックからフローになる(P80)といった

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    kamanobe
    kamanobe 2012/02/29
    ベタ褒め。「情報は発信しなければ意味がない」はソーシャルが活発になってからよく言われることだよなぁ。父が買っていたはずなので後で読もう。
  • 『竜の学校は山の上 — 九井諒子作品集』九井諒子(イ−スト・プレス ) - 書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

    →紀伊國屋書店で購入 「勇者」という言葉を、私たちの世代に広めたのは、1986年に第1作が発売されたRPGゲーム「ドラゴンクエスト」シリーズではなかったでしょうか。このゲームが瞬く間に全国の小学生を魅了したのは、単にゲームとして完成度が高かったからだけではありません。中世ヨーロッパの英雄伝説や物語をベースに組み立てられたと思われるこのゲームのシナリオは、非常に質の高いものでした。プレイした子供たちは、少なくとも私の周りの小学生たちはみんな、竜の存在する国、剣を携えた勇者たち、魔王の城、翼の生えた人々のいる世界に瞬く間にひきずりこまれて、夢中になっていました。今も「勇者」という言葉を聞いてドキドキしてしまうのは、きっと私だけではないはずです。 そんな「ファンタジー」の世界を緻密に描きだした上で、ぺらっと裏返してみせたのが、この漫画『竜の学校は山の上』です。竜やケンタウルスの奥様が牧歌的に描か

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  • 『Cooking for Geeks―料理の科学と実践レシピ』ジェフ・ポッター・著/水原文・訳(オライリー・ジャパン) - 書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

    →紀伊國屋書店で購入 温泉卵を作ろうとネットにあたると、沸騰したら火を止めて放置する、あるいはそのお湯に片栗粉を入れて湯の温度を保つという〝裏技〟、そのほか、魔法瓶を使う、電子レンジを使う、カップラーメンの容器を使う、一度卵を凍らせる等々、じつにいろいろな方法があることがわかる。 最も熱に敏感なタンパク質はオボトランスフェリンで、これは約144°F /62°Cで変成をはじめる。卵白アルブミンという別のタンパク質は、176°F /80°C程度で変成する。これらは、卵白に最も多くみられるタンパク質だ。オボトランスフェリンは卵白の14%を、卵白アルブミンは54%を占めている。温泉卵と固ゆで卵の違いもこれで説明できる。卵を十分に長い時間176°F /80°Cに保つと、卵白は硬くなる。しかしこれ未満の温度では、卵白アルブミンは丸まったまま(筆者註・未変成のタンパク質は丸く折りたたまれた形をしており、

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    kamanobe 2012/01/24
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