1534年にイグナティウス・ロヨラらによって創設されたイエズス会は、ポルトガル国王の庇護の下、瞬く間にインド、東南アジア、中国、そして日本へと進出していく。その躍進の理由と海外布教に際して取られた様々な戦略、組織、彼らが異文化へと布教の過程で直面した様々な課題、その対処法などを広くまとめた一冊。 イエズス会が短期間に海外布教を成功させることが出来たのは『国家権力との共生関係、文化的・科学的戦略にもとづく布教方法の導入、イエズス会総会長を頂点とする厳格なヒエラルヒーによる教団の中央集権的統括体制――これらの要素の重層的な活用』(P244)によるとまとめられる。これら各項目についてそれぞれ各章で細かく史料に基づいて具体的に分析されていて非常に興味深い。 イエズス会が海外布教を行う上で採った戦略が「適応主義政策accomodatio」と呼ばれる、異文化の尊重、現地の流儀に沿った対応であったという
![「イエズス会の世界戦略」高橋 裕史 著](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/69b9414ef383ee3acc823ddb74134fb6f3f4f05a/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fcall-of-history.com%2Fwp-content%2Fuploads%2F2014%2F05%2F4157EE65R4L.jpg)