小笠原の島々で、海鳥が生態系のパーツとしてどのような機能を持ってきたのか。 川上さんの近年の研究のひとつの軸はそのあたりにあって、その成果が島の生態系保全に役立つ。そんな流れを見てきた。 でも、川上さんと話していると、なにかこういったまとめ方が一面的じゃないかと思うことしきりだ。飄々としてクールな語り口の中に、時々、研究がおもしろくてたまらないという熱がほとばしる瞬間がある。ぼくが感じた範囲では、そんな時の川上さんは、保全の基礎となる実学としての研究をはみ出して、単純に、この世界の背後にあることわりを理解したいという強い欲求にもとづいて語っている。それは魂の深いところから発露する情熱の形だ。 ということは、川上さんは、おそらく、子どもの頃から生き物好きで、野山を駆け回っていたのだろう。そのように思う人が多いだろうが、しかし、違う。そもそも、虫が嫌いだし、偶然、大学の生物サークルに入るまで、