パン屋の楽しみといえば、焼き立ての匂いが充満する空間で、おいしそうにテカテカと光るパンを選ぶことといっても過言ではないだろう。9月某日、ワクワクしながら横浜市にある瀬谷駅直結のパン屋に入店した。 ……あれ、焼き立てパンのいい匂いが鼻腔をくすぐって……こない? 店内を見渡しても店員らしき人はいるものの、肝心のパンが1つも見当たらない。あるのはゴウゴウと音をたてる大型の冷凍ケースだけ。 もちろん入る店を間違えたわけではない。ケースの中を覗くと大量の冷凍パンが置かれていた。店の名前は「時をとめるベーカリー」。神奈川県や東京都のパン屋のパンを中心に大阪府やスペイン、ドイツなどの海外パンも仕入れて販売する「パンのセレクトショップ」だ。2021年9月にオープン。現在は、約50のパン屋と提携しており、陳列商品数は約450種類に上る。 桁違いの商品数を始め、この店はパン屋の「当たり前」が全く通用しないのが