候補者から1人だけを選んで投票する方式では,多数派の意思が正しく反映されるとは限らない。しかし,ちょっとした工夫を加えれば,この問題を解決できる。 完全な投票方式は存在しない。どんな方式にも何らかの欠陥がある。近年,フランスと米国で実施された大統領選挙ではいくつかの問題が生じた。2002年のフランス大統領選挙では,予想に反して,極右政党のルペンが上位2人の候補者で競う決選投票に進んでフランス国民を愕然とさせた。2000年の米国大統領選挙では,最も人気のあったアル・ゴアがジョージ・W・ブッシュに破れ,多くの米国民を驚かせた。 これに対し,いわゆる「真の多数決方式」を採用すれば問題点を解決できる。この方式では,投票者はすべての候補者について選好順序を示す。これに基づいて候補者どうしを1対1で比較したとき,他の候補者をすべて打ち負かした者が当選者となる。また,他の候補者をすべて打ち負かすほどの多